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空洞化のウソ――日本企業の「現地化」戦略

空洞化のウソ――日本企業の「現地化」戦略 (講談社現代新書)
空洞化のウソ――日本企業の「現地化」戦略 (講談社現代新書) 松島 大輔

講談社 2012-07-18
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本土の賃金が上がるにつれて、企業が逃げ出していき、廃墟、というようなことは、先進国共通の悩みです。

が、東南アジアを日本域内と見なせば、空洞化とは呼ばない。

こうした共栄圏をつくるところが増えているようで、東欧へ拡大する欧州とか。

この本は、空洞化はウソ、何故なら、東南アジアは国内と同じ、という論法です。東南アジアは、元々、ルックイースト政策を取ったり、戦後賠償としてODAをつぎ込んできたこともあり、コネなどがあり、日本の制度と親和性があり、ビジネスもやりやすいのではないか。

家電を一通り揃えた日本の需要は飽和しているが、まだ貧しいアジアには伸びしろがあるし、供給サイドにしても、賃金が日本より安いです。

下請けの中小企業は、大工場のくびきから逃れて、複数の納入先をもち、また、実力を試されるそうです。

穴だらけの護送船団からボートで抜け出して、生き残ったボート同士で連携しあうことが、吉と出るか、凶と出るか、そのままタイタニックするよりはいいかもしれません。

 

インドの家電市場を韓国のサムソンに席巻されたり、インドネシアの鉄道事業を中国に取られるなど、既に遅きに失した気配もありますが、

彼ら中国の技術は、日本に追いつけない技術ではないので、というか元々日本のパクリの廉価版なので、いやいやまだまだ、と言えないこともないし、そういうレッドオーシャンに投資できるか難しいところです。

 

この本は、現場のビジネスマンが、話を整理しないで書きつづっただけです。該当するアジアと、日本経済全体のビジョンが分からないです。

例えば中小企業は日本の雇用の何割で、とか、振興アジア地区はGDPの何割というようなマップがないので、本書に書いてあるミクロな話に降りていきにくいです。彼の扱った事例は、偶然の成功例に過ぎないのか、普遍化できるのか。現地のビジネスに携わっている人の、ミクロな話が連なっているので、人によって描けるマクロな話には差があるようで、アマゾンでは意見が真っ二つです。

 

対日感情や、企業と住人たちの相性、政府の政策、ライバル企業の動向、あらゆることに左右される為、成功するとかしないとかいうことが、断言しにくい。護送船団の日本国内であれば上からのコントロールが効くようなことが、全てランダムです。

彼が手がけて、インドや東南アジアに日本企業を案内して成功した例を引用していますが、マイナーです。例えば中小企業と連呼されるので、大企業向けの金型部品とかつくってる町工場のことかと思うと、ヲルマートの例がでてきて、小売りなども入っています。その割にはユニクロとかコンビニとか、誰もが知ってる例はでてきません。

 

2015年になって、中国のAIIB(アジアインフラ投資銀行)が注目を浴び始めました。本書の言う東南アジア経済圏は、それの日本版に似ています。

例に満州岸信介のプランがでてくるのですが、アメリカなども絡むので確約はできないのか。

日本は一時期金が有り余っていて、かつ新幹線やICカードなどのさまざまな技術を持つにもかかわらず、中国と違って、アジアインフラ投資銀行とはぶちあげず、アジア侵略の傷跡があるのかもしれません。

 

日本は尻つぼみだし、海外進出に成功の確約はなく、結局、仕事を楽しむ姿勢で行くしかないのでしょうか。日本の戦後の成功もある程度はそうだし、東南アジアは住むにも雰囲気のいいところだそうです。