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アキハバラ発―〈00年代〉への問い

アキハバラ発―〈00年代〉への問い
アキハバラ発―〈00年代〉への問い 大澤 真幸

岩波書店 2008-09-26
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トラックで秋葉原のオタクの群れにツッコミ、包丁を振り回して8人以上を死傷させる08年に起きた連続通り魔殺傷事件。リア充(リアルで充実)であるべき自動車行動労働者が疎外され、架空のユートピアで享楽的に生きるオタクに逆襲します。

この事件はテロとは呼ばれていないようですが、それに近いものがあると思います。

アマゾンにはデータベース生成を要求する事件とかいてありました。加藤本人が、祭りになると予感してやった事件だということです。

つまりこの本を開けばこの事件についての可能な解釈のデータベースがありますが、犯人の本心と関係あるかは不明です。

私たちにしたところで、この本を加藤に読ませて、これは当たりだね、これは違うね、などと言われたところで、どうでもいいような気がします。もし加藤死刑囚の読後のコメントとかが載っていたら、インパクトありましたが。

この事件は多くの漫画などにネタを提供したようですが、資料として知りたい人が手に取るには良いです。

 

人々が事件に群がる技術みたいのを知りたくて手に取ってみました。オウム特集みたいなものはあまり出版されていないし、震災特集みたいのはいくつか読みました。しかし少年犯罪が最低を更新し続ける90年代、荒れる少年たちを演出したメディアの売り方とマッチポンプ的な防犯監視網の普及のさせ方などは、2008年には既に反省されていたようです。狙われる小学生キャンペーンなども一通り終わった頃です。

 

確率論的に発生する犯罪の偶然のストーリーをかってに敷衍してこれが日本の現象と煽り立てる、そんな知識人の売り出し方がイヤ気されているのは、当時からあったということで、東紀浩などは箝口令でもないだろう、語りたければ別にブログでサラっと触れるくらいイイジャンと開き直っていました。まあそういう自省しつつのストーリー化なので、そんなに読みづらくはないです。

派遣先の社長を刺すのではなくてオタクのユートピアでテロをした加藤は、リアルが充実しなくてもネットで憂さ晴らしをして飼いならされる、ユルイ世界にイラだったということのようです。その他、いろんな分析がのっています。


アマゾンには派遣労働者やネット依存症の人に話を聞いてほしかったと書いてありますが、ネットでは大した文章が出てこなかったような気がします。出てきたところで、元々その辺にある不満やグチと区別がつきません。
当時は円高に喘ぐ自動車産業がアメリカの経済危機でさらに危機に晒され、派遣というワークスタイルも左右の派が喧々諤々で取りざたされていました。

つまりその声明文化を知識人にまかせて、アマチュア視聴者は、そうだとか違うとかピーチクパーチク言っていればいいんだと思いました。

たまにこういうところに寄稿している文系学者が要らないという人がいますが、事件がおきてワイドショーご用達学者が物知り顔でご高説を垂れる、それはニーズとしては三文文学などとあまり区別がつきませんが、べつにニーズがあるならそれでいい。加藤のようなテロの才能のある精神障碍者は確率論的に一定数発生するものなので、あまり興味はないのですが、社会の側の反応は気になってしまいます。

 

あとは欧米の銃乱射事件の似たような本も出ているはずなので、そういうのも翻訳したらニーズがないか。彼我は似たような状況にあり、関心があると思います。

 

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