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グローバリズム出づる処の殺人者より

グローバリズム出づる処の殺人者より
グローバリズム出づる処の殺人者より アラヴィンド アディガ Aravind Adiga

文藝春秋 2009-02
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黒人のヒップホップならブラックパンサーですが、インドの神童はホワイトタイガーと呼ばれます。寒村を視察しにきたやる気のない役人に、このクソ田舎に、白い虎がいた、と言われた子供のころの主人公です。

ヒップホップは結局、マルコムXなどがアフリカニズムとかイスラムとか手広く手を出したけれど、今はプロテストとはいっても金儲け、ギャル、キャデラック、それで白人の目を大いに楽しませたり嘆かせたり、でもインドのホワトタイガーたちはそうしません。

エンジニアをしたり、コールセンターを作ったり、アメリカ経済の下請けにいそしみ、賃金を稼ぎます。

渡米した中国の教育ママは、タイガーマムとしてアメリカで論争を引き起こしていますが、このホワイトタイガーは中国の温家宝(当時の首相)に手紙を出します。インディ、チャイニ、バハイー、バハイー(友達、友達)、そして一緒に世界を変えましょうと書きます。

 

インドで観光客や地元の偉い人を乗せるオートリキシャーは安いですが、タクシードライバーが腰痛や痔でツライなら、リキシャーは喀血して死ぬらしく、シビアです。

彼の父親は、そのオートリキシャーの担い手で、路上で喀血して死にます。

彼は親戚に運転免許証取得料を奮発してもらい、タクシードライバーの方を選びます。

毎日お金持ちの運転手をする彼には、インドビジネスの闇情報などが耳に入り、右から左へ抜けていきます。

抜け目のない彼は、取引先の人に信頼されてトランクを預けられることもありますが、毎日フロントグラスに下がっている、ヒンズーの神のマスコット人形を殴っています。

 

インドは元々、人権侵害をしても革命が起きないナゾ構造ですが、

親の職業を代々継ぐ、男性同士の暴力を忌むなど、人を鎖につないでおく頚木がいろいろあります。

例えば仕えた家で誰かが盗みをすると、通報されて出身地域自体がお尋ね者になるという、日本にもありそうな、無視できない因習があるようです。

カースト制度のインド中にネットワークとして広がる黒い因習の蜘蛛の巣ですが。

 

ここで主人公は、敢えて主人の金を盗み、オイラの村が沈没する、だから何だよ、と豪語し、そこへ、その通りだよアニキ、と言う、親戚の子供が付いてきて、盗んだ金でアイスクリームをほうばったりします。

盗んだ金は投資し、2人はコールセンターとタクシー会社を経営、大成功します。

彼は駅前などに、自分のお尋ね者のポスターがないか、いつも確かめて外を歩きます。

 

著者はハイカーストの家に生まれて、アメリカで経済ジャーナリストになってこれを書いたそうです。インドの因習を代表するクラスから、アメリカの資本主義の手先へ、という懺悔ではないのだろうけど。

バラモンは神官で、商売をするのはクシャトリアとかで別の層で、経済ジャーナリストは商行為そのものではないので、何に当たるのかは分からないですが。

 

例えば、護送船団下でやってきて、お取り潰しになった政治勢力の息子が米留学していて、帰ってきてアメリカの手先的な政策で成功していくとか、日本でいうとそんな感じなのか。


インド映画のフリップCMには786の神がでてくるとか、786人の神のケツにキスしなければなりません、などの変な文句が良いです。

インドの貧しい売り子は、路上で信号待ちをする車のサイドグラスを叩き、バフェットに学ぶ成功みたいな洋モノの成功本を売りつけてくるそうです。

そういうのはもう時代遅れで、これからはインド人の書いた成功本に学べと、主人公は断言、要は(ホワイトタイガーであるこの)俺、です。

そのように、いろいろ、ヤバイ臭いがしていい感じです。

 

 

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