ちきうアネクドート

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六〇〇〇度の愛

六〇〇〇度の愛 (新潮文庫)
六〇〇〇度の愛 (新潮文庫) 鹿島田 真希

新潮社 2009-08-28
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オシャレな原爆、オシャレなクリスチャン、この無意味さには脱帽です。

きのこ雲に魅せられた平凡な主婦が長崎で、アトピーのハーフの青年とひとときの情交をもつ。

長崎とキリスト教なんて陳腐と思いきや、前々から温めていたようで文体の密度とか濃くていい感じです。

同じ原爆というようなテーマで書かれたものとしては、かなり現代性があります。この情交と原爆やキリスト教、はたまた自殺した兄の過去との関連には全く必然性がなくて、ハリセンで叩きたくなるのですが、文章の上手さなどで有無を言わさない迫力です。

ただしこの文章に惹かれない人だとハリセンで叩きたくなりそうですが。深い意味などを求める人には地雷だし文学賞という感じではありません。多和田葉子とか好きな人にオススメでしょうか。

原爆は完全に1つのモチーフとして利用されていて、いいのかコレというくらいの気分にもなりますが、もう原爆のこととか何も知らない世代の文学かもしれません。そういう刺身のツマ扱いの原爆に比べると、クリスチャンのほうは引用がたくさんあります。

浮気している主婦とクリスチャンは何の関係もないという、これまた、なんでやねん、といいたくなる人もいるかもしれません。もしかするとその、なんでやねんという、無関係さが、ウリなのかもしれません。脱構築か。

ロシアでは、ギリシア正教のロシアローカルな流行で、運が悪かったり頭が足りなかったりして、受難にばかりあっている人が、聖人としてあがめられる伝統があるそうで、そういうのも出てきます。

チェルノブイリ方向には、行きそうでいかないです。受難らしくない受難、いわば受難ファッションとでもいうべきもので、これだけ書けるのは才能か。

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