ちきうアネクドート

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21世紀の国富論

21世紀の国富論
21世紀の国富論 原 丈人

平凡社 2007-06-21
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アメリカ式経営などがなし崩し的に輸入され、現場の人たちが戸惑っているようです。

例えばライブドアとか村上ファンド的なものがアリかナシかなどというのは決着が有耶無耶です。

本書はアメリカ型のヘッジファンドを断罪し、全てののステークホルダーが利益を得る経営を追求しようといいますが、

しかし年金を受け取る年になると、企業年金連合の利益率や分配が気になる株主の立場になるので難しいです。

会社は社員のものか、株主のものか、ということで、「(リストラなどをされかねない)労働者」「株主(資金運用をする一般市民」としての利益が相反するというのは、他書でも指摘されています。

本書にある、長期的な株主のための「東京証券取引所セクションA」(仮称)を造れば、短期的株主に嫌気の差している米国企業も東京市場に呼び込むことが出来る、というのは、試験的に運用してみて欲しいです。

新興国がアメリカの技術に一気にキャッチアップしたようなことが書いてありますが、背後には技術を提供する欧米側の、新興市場の拡大を狙ったり、例に出ているバングラディシュのような小国が、他の大国と均衡するように台頭させるというバランシングの理論が隠れているのではないでしょうか。
つまり、技術を提供する側の胸先三寸です。
明治や戦後、欧米からの技術許与を受け入れた日本などと、そうしなかった国々との明暗が分かれたように、です。
それと失敗続きの、日本の護送船団を重ねるのは無邪気な感じがします。

株式至上主義以外の方法を取り入れるというときの、際限が分かりません。株高を狙わずにじっくり研究するために内部留保を増やすと、労働者の給与所得は打撃を受けないのか。

そもそも、メーカーなどが、企業秘密を外に漏らさないために、研究成果などを株主に積極的に公開せず、代わりに研究費用として内部留保を高めていた為、株価が低迷するシーンが続きました

90年代後半に金融ビックバンがあり、金融取引の正当性が事前の談合から事後チェック型に変わりましたが、産業構造の変革と、衰退産業のリストラに対応した必要な措置でした。

リストラがないということは、例えばある産業やある商品が落ち目になってきたら、

リストラの代わりに違う部署を立ち上げてそちらへ異動していき、1から勉強を始めるなど、自主的に動かないといけないので、ものすごく意識が高くないと務まらないと思います。

それでも産業構造の転換に失敗して損をする局面も多いと思いますが、そのとき株主が株を売るのも制約がつくということなのか。

今の流動的な世の中に、昔の護送船団がそぐうとは思えないし、このやり方が、どの産業に適合するとか、細かい議論が待たれると思います。

アメリカでも昔は日本型経営のようなことをしていて経済はグダグダだったのを容赦ないリストラで立ち直ったという履歴があります。米国型経営はアメリカの経済史上では著しく成果をあげてきた方法であり、それがネオリベの人たちの根拠です。

経済というのは社会実験であり、今のところは何とも言えなそうです。

 

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