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トルコのもう一つの顔

トルコのもう一つの顔 (中公新書)
トルコのもう一つの顔 (中公新書) 小島 剛一

中央公論社 1991-02
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イスラムとヨーロッパの境目にあり、何かと騒がしいトルコに、マイナー言語を求め、忍ぶ学者の記です。

トルコの人たちは親切で愛嬌があり、とても良い人です。がしかし、少数民族について尋ねると豹変し、あそこは売女の村だよとか、やつらは人肉を食べるとか、素朴にひどいです。

どうやら、当局が主導して差別意識を振りまいていることが分かります。

トルコは多文化を抱合していたオスマントルコの崩壊の危機に際して、周縁部を切り捨ててトルコ語を核にまとまった国家です。日本の近代化と同時期です。

なので、クルド語やザザ語などの方言は公式に無いことになっているし、海外の学者がそういうものを調べに行くと妨害がひどいようです。

フィールドワークの研究成果を取り上げられないよう、もしくはスパイ疑惑などを躱す、著者のコミュニケーション能力が只者ではありません。

過去にオスマントルコという広大な領土を持ち、そこで多国語が話されていたことを曲解し、オスマントルコ支配下にあった領土の、アルメニア語やクルド語がトルコ語起源というようなナショナリズム鼓舞をしています。何と、中華思想を持つ中国よりタチが悪いじゃあ、あーりませんか。

日本は遠いし被害を受けていないので、そういう暗黒面はあまり知られていません。新生トルコを植民地化から守り、発展させたアタチュルクは偉人ですが、急激な近代化には影があります。

アイヌ語などは既に絶滅していますが、トルコの少数言語は何故か残っています。教育が普及していないのか、というか、少数民族が公立学校へ行くとリンチにあうそうで、ひどい話です。

お忍びでフィールドワークへ行く著者は忍者のようで、それを監視する当局などとのウィットの効いた会話の応酬には感心しきりです。

 

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