ちきうアネクドート

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富士

富士 (中公文庫)
富士 (中公文庫) 武田 泰淳

中央公論新社 1973-08-10
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哲学者が狂人とされたり、本当に狂ったり、そういうことはよくあるのか。

戦前の精神病院を舞台にした、分厚い一冊です。

ただでさえ言論統制の厳しい戦中の銃後において、反社会的発言を繰り返す精神病患者などは、雰囲気を乱すから射殺でもされたのかと思っていましたが、そんなことは無くて、お偉いさんなどのご子息だと扱いに困って精神病院に入れたようです。

ですので、登場人物たちは基本的には金持ちの精神疾患罹患者で、育ちの良さや知性が窺えます。貧乏人の狂人は射殺されていたかもしれません。

気の狂った状況下で、気の狂った人々は、一周回って正常かどうか。

自分は天皇の係累だという人など、いろいろ集まっています。天皇の子孫を名乗るのは、精神障碍者に多い妄想だそうですが。

第一話では、軍から視察がやってきて、病院のヘルパーのようなことをしている主人公は、そういう人を隠そうとするのですが失敗します。軍人と偽称天皇のバトルとかすごいです。

週刊誌風に書けば、恐怖、精神病院の実態、みたいなのを緻密な観察力で文学的に書いたものなので退屈しようがないかもしれません。

今のメンヘルはヌルイので、戦中だったら大人しく徴兵されて敵の弾に当たって死んでいそうです。

戦中の精神病院は強烈な人が多くて面白そうですが。軍人相手にも平然とゴーイングマイウェイ、まあそういう人は今はネットで活動家とかやっているのかもしれません。

お互いは話は通じてないようですが、海外の酒場とかもそんな感じか。

 

 

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