ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

生き残った帝国ビザンティン

生き残った帝国ビザンティン (講談社学術文庫 1866)
生き残った帝国ビザンティン (講談社学術文庫 1866) 井上 浩一

講談社 2008-03-10
売り上げランキング : 13386


Amazonで詳しく見る by G-Tools



 


ビザンチン帝国は幻のイメージが強いでしょうか、幻すぎて私は忘れていました。

頭の中からスッポ抜けていました。

しかしその実態は、セルビアの王子の射殺から始まった世界大戦、最近ではボスニア紛争など、あのヨーロッパの火薬庫の因果な土地で1000年続いた帝国ということで、衝撃です。

現在、ビザンチンの栄光を継ぐ国はないし、絢爛たる遺跡はオスマントルコに立て壊されて残っていない、まさに幻です。

文化はロシア正教など、東欧一体に残っているのと、しいていえば構成員はギリシア人です。

現地の人が権威の源泉として、たびたび持ち出す、中華帝国ローマ帝国などと違いキレイサッパリ消えたようです。

それもこれもかの地が、小国に分けれて群雄割拠しているからか。EUと違い、ビザンチン共栄圏なんて、できそうにありません。

本の始めは眠いですが、途中から本調子になり、想像力を掻き立てるのが上手く、イタリアの歴史を書いている塩野七海よりセンスあります。

右の頬を撃たれたら左の頬を差し出しなさいというキリスト教は為政者からしたらこの上なく都合のいい教えで、そういう宗教は共産主義などに似ていて、権力への対抗思想としてしか力を持ちえないとか、普通の学者の領分から少しはみ出した、しかし遠慮がちの記述がスパイスです。

兵農分離や重税に耐えかねての流浪、農民を保護した貴族の台頭など、帝国を成り立たせているインフラにも触れてあり、詳しい人は頭の中で日本史や中国史との対比が出来ると思います。

極東の孤立した島国にあった日本と違い、世界の交通の要所にあり、エジプトからエルサレムまで版図に入れた時期があると思えば、勃興したイスラムの勢力に滅ぼされそうになったり、近年までこの地域が世界の火薬庫になっているのもやむなしか。

むしろ当時の平和の秘訣が知りたいくらいです。ISなどへの防波堤もかねて、現代に破たんしたギリシアや東欧を合わせてビザンチン帝国が復活したらどうなるでしょうか。

日本人にとってスケールが大きいというと中国史ですが、このビザンチン帝国と比べると、中国史ですら、閉じられた歴史です。紛争の現状を見ると、開かれているから良いというものでもないかもしれないですが。

日本国内でいえば、例えば、粉塵をまき散らすトラックが通る道沿いのマンションとか、不良の通り道とか、地理的不遇はあります。

そういう土地で1000年以上、統治を続けたのは奇跡に近いか。

歴史物の流行る、あまりハリウッド映画などで触れられないのは、この地域は1998年に紛争のあったバルカン半島などにまたがり、タブーなのか。絹など最高級のものが集積され、イタリアやフランスからも下賜を賜ろうと王侯貴族が集まったそうで、独特の衣装とか見たいです。

ビザンティン帝国は、イスラム教徒側には、難攻不落の壁があったのですが、当時流行ったガソリン爆弾みたいのがあって、戦も独特のようで、そういうのも見たいです。

とりあえず、筆者の見てきたように語る能力はすごいです。

 

広告を非表示にする