ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

元職員

元職員 (100周年書き下ろし)
元職員 (100周年書き下ろし) 吉田 修一

講談社 2008-11-05
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東北かどこかの職員が公費を横領して愛人に貢いだチリのアニータ事件がモデルらしいです。

そこそこ優秀な人の集まっている大三セクター的なところの役人さんが、公営住宅に住みつつ、公金をチマチマつまんでいたらエスカレートしていって、富裕層のパーティーに潜り込んだりするが、生活水準が違い過ぎて話にノレなくて憂鬱になったりとか。

金が途切れないので、そんな暮らしを続けていたら、豪遊に付き合っていた妻の方が、手が震えてバターが上手くパンに塗れないのよ、などとキレかけて、職員の旦那の方がタイへ出奔します。

気取っているというか、普通に暮らせばとも思いますが、横領犯の全てが都合よくキレてくれるとは限らない、もし職場の人にバレても役所サイドとして醜聞なのでもみ消しだろうとか書いてあります。


その主人公が気晴らしにタイに行くと、やはりタイに流れてきてアテンドなどをしている変わり者の青年が、

駐在ビジネスマンの妻と火遊びをしていますが、日本の団地妻だったら刺激がないとか、意味深なことを言います。


そのアテンドの青年は、タイの現地の「スレてない良い感じの子」を紹介してくれるのですが、その子について、

嘘は言われた方が信じるなら嘘じゃない、素性とかいちいち聞くのはマナーじゃない、

留学資金を貯めている苦学生か、農村から出てきた薄幸の少女か、自分が興奮する方を信じればいいと言われます。

恋人になった2人は公園の芝生で水浴びをしてはしゃぎあったりするのですが、金銭感覚のスレてしまった日本の役人と、現地の貧しい暮らしのコントラストが爛れた雰囲気です。

ある日、彼女の弟がムエタイの選手で、誘われて試合を見に行くのですが、

大切な姉を売春させているこの白豚野郎、というわけで試合が負けた腹いせなのか、主人公はその弟のムエタイキックを食らって失神します。


主人公はタイに精神回復しにきていたつもりが、どんどん感性がスレていき、

帰りの飛行機でフライトアテンダントにシャンペンねーのかよシャンペンよ、などと売春ツアーに来た土建屋集団のように毒づいて、脇にあった新聞を手に取ると、公団の元職員という文字が目に入ってきて目をしばたくが、それは公費の着服ではなく、女子高生との淫行だっりして、彼の事ではなくて一安心つきますが、彼の横領がバレるかどうかは未知数です。

バレなくても主人公は神経がおかしくなっているので、挙動不審で駄目だと思わせるラストで、きれいにまとまっています。

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