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テロル

テロル (ハヤカワepiブック・プラネット)
テロル (ハヤカワepiブック・プラネット) ヤスミナ・カドラ 藤本 優子

早川書房 2007-03-23
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主人公はアラブの遊牧民に生まれ、イスラエル帰化して外科医として出世の階段を上っていますが、ある日病院の近くでパレスチナ人のテロが起きて彼は大忙しになり、術衣を血まみれにして作業を終えた翌日、彼と幸せに暮らしていたはずの奥さんがテロリストとして逮捕されます。

病院の駐車場に並ぶ高級車に、主人公が難しい手術を成功させるたびに冷たい目で見てくるイスラエルの同僚たち、主人公は病院を飛び出し、妻のテロの真相を求めてパレスチナへ飛び込みますが、パレスチナの人たちは、イスラエル社会に寄生して生きている彼に不審の目をよこします。


同じパレスチナに生れ、人の命を救ってきた主人公と、人の命を奪うテロリストたち、と、あらすじはよさそうなのですが、前作でタリバン支配下のカブールの狂気を書いた文章力があまり生かされていないです。

妻に指令を下したパレスチナのテロリストを訪ねて彷徨う辺りとか、タルくて、後書きに、本作は一気に2か月で書きあげたとか書いてありました。

 

主人公は外科医で、仲間の民兵が殺した敵を、生き返らせる仕事をしていているので、元々利益相反しますが、奥さんのテロのことでイスラエルの警察の取り調べを受けて釈放されたので、スパイ疑惑が掛かり、地元民のモスクから追い出されたりします。


衛兵をつけて危険地帯をうろついている報道陣や、CNNなどで流される荒れたパレスチナの映像も、年老いた悪魔のように見慣れてしまったとはいえ、

パレスチナ出身者が、先進国の世界で成功して、故郷の人たちには裏切りものとみなされるとか、成功した低開発地域の移民に共通の良心の呵責のようなものがあるようです。


テロの報復なのか、いつものことなのか、主人公の故郷の果樹園は、イスラエルにブルドーザーでつぶされるのですが、

ユダヤ人は風のように世界を旅してきたのに、イスラエルに壁を築いて自分たちを閉じ込めているとか、聖書の引用などがあり、旧約聖書は砂漠の民が共通で使っているので敵にも通じそうですが、雰囲気があります。


オマケの衝撃のラスト、爆発でバラバラになる病院の中で、二波を浴びたのか、血を流して死んでいく主人公のフラッシュバック、

彼はテロの被害者だったのか、ボカされていて、よくわかりません。

イスラムのテロがテーマですが、聖書などを織り込みつつ、今ふうのテイストです。

 

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