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ヒルズ黙示録・最終章

ヒルズ黙示録・最終章 (朝日新書)
ヒルズ黙示録・最終章 (朝日新書) 大鹿 靖明

朝日新聞出版 2006-10-31
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ホリエの近鉄バッファローズ買収宣言で始まった一連の事件は、シャーレに珍しい細菌が繁殖してまたたくまに消えて行ったようで、この老人の国は何も変わらなかったと書いてあります。

元々、ホームページ制作からスタートしたライブドアは、2005年頃から株価の低迷するソニーを狙い、ブランドロンダリングをしたかったという逸話で本書は始まります。

で、乗り気な取締役と、ヤバイんじゃないですか、国民ブランドですから、みたいな取締役に分かれたそうですが、ソニーを買っていれば、ライブドア事件も世界中に報道されたかもしれない、などとジャーナリストの彼も劇場志向です。

真面目な産業再生ファンドじゃないライブドアが日本のスター企業を食い荒らせば、ライブドア株を買っていた人は引きそうな感じもしますが、実行されずに終わります。

とにかく派手なディールを教えて下さい、などとアドバイスを乞われて、この人たちは大丈夫なのかと思いましたね、大人ファンドの面々には、などとけんもほろろです。

走りながらキャッチアップしていった可能性もあるのかないのか。愉快犯的、側面が強いのか。


宮内、中村などの糟糠の妻というか、古株重役は、逮捕直前の頃のホリエの責任転嫁にウンザリして、検察の筋書に乗って歌い、サッサと減刑してもらって再スタートを切ろうとするが、

裁判では杜撰な見込み捜査をした検察側の指揮者が、堀江側の弁護士に証人喚問されるなど、乗った船が沈んでいきます。

元々真面目なファンドマネジャーだった村上世彰は、途中からヒルズ族のカリスマになり、彼らを嗾けて株を買わせる手法へシフトし、て特定企業の株価を上げて、自分の持ち株を売り抜ける小悪魔ファンドに成り下がっています。

例えばニッポン放送の件なら、三木谷さんもその気なんだよね、などと煽り、ライブドアを、いやいや、僕らもお金いっぱいありますから、などと焦らせるとか。

なのでニッポン放送インサイダー取引の摘発は杜撰だけれど、検察は前から狙っていたようです。他のプレーヤーからクレームでも入ったのか。

ファンドには公正な運営を求める正義の顔と悪魔の顔があるが、僕たちには悪魔の顔しか見せませんでした、とかライブドア社員が言ってます。

 

例えば村上ファンドの参入した阪神の一件、関西は私鉄が強くて、阪神、阪急、京阪、近鉄JR西日本、など四つ巴、五つ巴とかウケますが、

村上がプレッシャーをかけるために、阪神のオフィスに来て、オタクの買収に、関西テレビがああの、近鉄がこうの、とか、勝手に吹いて、

阪神サイドが慌てて確認しに出向くと、相手方にとっては寝耳に水で、村上が1人で吹いていただけなことが分かったりします。

そういう、日本型、談合のユルさというか、経営哲学が薄く、関係性だけで成り立っている為に、各プレイヤーが風を作れば勝手に飛ばされていくような危うさもあり、さすが元官僚なのか、プレイヤーイジリが上手いです。

それで5つの鉄道が関西の意地でもなんでもなく、各自適当に動いた結果、阪急が大株主になり、今度は村上サイドが寝耳に水になり、彼の画策は、逮捕のこともあって、オジャンになったとか、村上ファンドも万能ではないようです。結局、裏で糸を引いていたのが、三井住友銀行だったとか。

体の重たくなった各社を動かす、成熟した業界の再編には、大金が動かないと難しいし、産業の転換期=金融ビックバン、という動き自体は間違っていないと思います。

ニッポン放送買収のときは、秘密条項を入れてすら、大手銀行がつきあい上支障があるとして、ビビってしまって手を引かれたとか。

他の国のここまで盛り上がったかどうかは知らないですが、アメリカのAOLのメディア買収とか、大して盛り上がっているようには伝わってこなかったが。

外国のファンドなどに参入されたくないので、あまり伝えないのか。

日本の金融ショーでは、クレディ・スイスとか、違法証券として登場多過ぎです。

98年頃、大手銀行を顧客にした、不良債権の飛ばしで、一旦逮捕というか、日本の警察に、担当者が捕まったり、本社に警告しただけらしく、

それでまたライブドアに噛んできているとか、商魂たくましいです。治外法権感があり、日本人がエンパイアーステイトビルを二度買収するみたいな感じか。

 

IT技術みたいな技術の機密は、もし株主に情報公開できないから、それで虚業というか、買収稼業に精を出すのは仕方がないです。

その金でITとか宇宙とかやろうとしていたのだろうし、それは邪道なのだろうか。

欲しい技術を持つ子会社とかにして会計をチャンポンにして、利益を移し替えて捨ててしまうとかひどい話ですが。

情報漏れが嫌なので、テクノロジー企業が、内部留保で研究費を調達するようになった結果、

株取引とか流行らなくなって、ゲームを盛り上げるために作ったのか、世界の金融ビックバンは、ロンドンのシティがウィンブルドン現象とか言い出した頃でしょうか。

イギリスでは、人々があまり会社の所有者にこだらずサクサク買収していくそうなので、浪花節やガキ帝国などというストーリー自体、発生の余地がないようですが。


ライブドア社員はGメールとか使ってなかったのか、当時、グーグルはGメールは利用者のプライバシーを保障しません、みたいな注意書きを出して炎上してましたが。

検察はライブドア社員の仕事用パソコンを押収してチマチマ調べていたらしいたようですが、

これ以降大きな摘発がないのは、大きな動きが事前に掴まれて内部処理されているからでしょうか。


最初にニッポン放送買収を嗾けてきた村上に、

宮内などが、行きましょう、とかいったら、フジテレビの創業者一族の鹿島が持ち株を売ったという情報を掴んでいた彼に、あんたたちにできるんですか?などの冷や水を掛けられて、

ニッポン放送買収、もう駄目だ、みたいなメールしかでてこなくてションボリ、検察は見込みハズしたそうです。

 

世の中荒らして気勢を上げるガキ帝国のライブドア、並み居る企業を天秤に掛けるやり手ファンドの村上世彰、見込み捜査やりまくりのヤクザ検察、と、互いに相手にとって不足なし、 三つ巴が面白い一冊です。

 

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