ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

想像ラジオ

想像ラジオ (河出文庫)
想像ラジオ (河出文庫) いとう せいこう

河出書房新社 2015-02-06
売り上げランキング : 1322


Amazonで詳しく見る by G-Tools

 

 


死者を口寄せするイタコ文学というか。

311の犠牲者の1人が、同じさまよえる魂魄たちに、音波を飛ばしてラジオDJをかけ始めます。たしかに霊魂も電波も空中を飛んでいるし、ないことはなさそうです。

死んでいるが成仏する前のラジオDJにたいして生きている人や死んだ人が入り混じってハガキを寄せます。涅槃みたいな雰囲気を醸し出します。

ノスタルジーを掻き立てる感じとか、元々職業DJをしたことがあるのか、深夜ラジオの愛聴者なのかはよくしらないのですが、ラジオDJの語りは板についています。

ただ、全体的に、意味が分からないです。

僕たちは震災で死にましたとは明言されないので、震災を知らない人が読むと意味がわからないです。

深夜ラジオの内容はだいたいユルイというか無意味なので、イラっと来る人もいるかもしれません。

普通に書くと相当胡散臭いというか、幸福の科学大川隆法昭和天皇とかムハンマドの霊を召還していますが、そういうのと、ほとんど同じです。あとは、センスです。

これと同じバージョンで交通事故死した人のエアーラジオというのを書いたら、すごい車社会バッシングになりそうだと思いましたがどうでもいいか。トヨタの前に赤信号はないのかを書いた人とかにオススメか。

あと過労死とか、左翼の新聞の小説欄とかで流行りそうですが。

老衰や病死なら、死への準備をすることが出来ますが、震災や事故で突然死した人の遺言や心残りだったことなど、彼の声を聞くことは難しい、だからこそ突然死は悲劇です。

311は未曽有の危機みたいな捉え方はされていましたが、震災で亡くなった人の1人1人を、遺族の他は誰も鎮魂していませんでした、そういう日本人の感情の未消化の部分をつついてくる変種の感動モノというか。

被災地に散らばっていた写真を集めている館があって、それも何となく個人的なものを晒すのは冒涜ではないかという声があったような気がしますが、これも何か死者を騙るには、センスが気に食わないという人はいそうです。

 

広告を非表示にする