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仏教vs.倫理

仏教vs.倫理 (ちくま新書)
仏教vs.倫理 (ちくま新書) 末木 文美士

筑摩書房 2006-02
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仏教は他の伝統宗教と比べると大人しいです。ジハードを進めたり、貪欲に布教に行き、未開の地の土地を開墾したり子供を洗礼していったりしないので、葬式に特化し、死者との語らいの場を提供すれば、世界から見て仏教カラーが出ます。

今は悪口として使われることが多い、仏教が葬式宗教というレッテルを利用して、死者との触れ合いの場として現代に復権をはかれると書いてあります。

とかく人の世は住みにくく、死者を大切にするという彼独自の倫理です。

それをナショナリストのように、英霊や祖国とは表現せず、そういう人々に危険を及ぼしそうな現世の権威を慎重に遠ざけつつ、死者の鎮魂を語る生臭くない本です。

ホロコースト原爆ドーム靖国神社は、目的を犠牲者の鎮魂といい、民族同士のグループ抗争を避けますが、

戦没者たちが現世の人を押さえつけて戦争をさせないというようなことはありえず、現実の生々しい政治に効力を持たない祭壇としてよくできています。

ホロコーストがのちのユダヤ人の思想にどういう影響を及ぼしているか、というようなことも、触れられていて射程は広そうです。

イスラムキリスト教は、人々を律する根拠として、神とか天国の概念を持ち出し、現世の利益を超えますが、仏教には、悟れ、欲を捨てよ、です。

仏教は争いを起こさないし、発祥地のインドではたくさんあるヒンズー教の神の1神にされるなど、戦闘力は弱いです。

権力闘争に負けた人などが逃げ込む聖域として、世の中の隅に押しやられるか、もしくは仏教を国教に据えているチベットや東南アジアは、物腰が弱いです。

また日本の仏教界の発展について書いてあり、全ての人は死んだら仏になれるという宗派は悪いことをし放題で反倫理的とか、

江戸時代の檀家制度は戸籍管理制度として利用され、明治では廃仏毀釈で弾圧されたり、食肉妻帯を許し、出家から在家の立場へ降りてしまった経緯が紹介され、地に足の着いた仏教と現世との関わり合いが分かります。

世界の人口爆発や経済の成熟で、世代再生産する人も減り、人生の共通点として、死が一つの焦点になっていく可能性はありそうです。

 

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