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王妃の館

王妃の館〈上〉 (集英社文庫)
王妃の館〈上〉 (集英社文庫) 浅田 次郎

集英社 2004-06-18
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社長と愛人と、その女の元夫が、同居している、ある爛れた旅行代理店が、

荒稼ぎ目当てにか、フランスの王妃の館で寝泊まりできる光ツアーを200万、闇ツアーを20万でダブルブッキングをし、

少ない人員でツアーを回そうとします。が、途中でバレます。

闇ツアーの人は、コンダクターの解説を物陰から聞き、ワインセラーで寝なくてはいけないとか。

200万と20万の差はともかく、そんな貧乏と金持ちという差は感じません。いってみれば、どの人も、ただの日本人です。

パッケージツアーって、ダサっと思いがちですが、参加者の背景を探れば、いろいろな人がいます。

パリで心中しようとしている借金で首の回らない品の良い夫婦、

道中でオカマに惚れられた退職刑事や、

ルイ14世の小説を書こうとして煮詰まった小説家と編集者のコンビなどが参加し、その胡散臭い面々と、過去のフランスの王朝の話が交錯します。

幼少の頃にクーデターにあい、その原初的な恐怖を紛らわすために底抜けに明るいルイ14世

ルイ14世は、コモタレヴーのヴーを屁で発音するなどのギャグを会議で放ち、あなたは太陽のような王ですといわれれば、私は太陽そのものだと壮語します。

一方の、政略結婚で、スペインの王妃からバルコニーから突き落とされた上に、王宮を追い出され、

そのせいで足が不自由な為に軍人になれないことを嘆き、いつでも王国の為に命は差し出そうという息子のルイ15世は、ありえないほどピュアーで良い子役です。

で、正妃に追い出され、足萎えの彼と母親の寡婦が住んでいたのが、王妃の館です。

ルイ14世もクーデターの恐怖などがあり、別居していた孤独な王妃とは、本当は相思相愛ですが、

彼らは、フランス国王夫婦として、無理をしながら正道を歩む生き方が出来ずに、彼女を正妃として迎えることは断念します。

フランス王国には、当時の世界帝国のスペインの影があり、

スペイン王室から王妃を迎えないと生きながらえることが出来ず、

戦争になれば同じスペインの血を引きながら、スペイン人を殺さなくてはいけない、辛い立場です。

当時のフランス王朝には、自分とは何か、フランスとは何か、混乱しやすい人が多いようです。

逆にスペイン兵を殺すことで初めて自己証明のできた元フランス兵の王室専属のコックなどもいます。

彼ら昔のフランス人のことは、ツアー参加者のベストセラー作家が書いている、という名目になっていますが、ツアーと上手く交錯して、

作家としては、本格的フランス歴小説が書けなかっただけやん、と言うこともできそうですが、大変読みやすいです。

何でも書ける浅田次郎の、面目躍如な1冊です。

 

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