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美しい都市・醜い都市

美しい都市・醜い都市―現代景観論 (中公新書ラクレ)
美しい都市・醜い都市―現代景観論 (中公新書ラクレ) 五十嵐 太郎

中央公論新社 2006-10
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あまたの街に、数々の建物があり、それぞれに所有者がいます。

それを、綺麗な景観はともかく、あまつさえ汚い景観と、名指しされれば侮辱です。それについて、疑念を呈す本です。

先に地雷を踏んだのは他の先駆者で、美しい景観をつくる会という、東京都の石原慎太郎とフレンズが作りました。インターネットを検索すればモメた遺跡があります。

美しい景観をつくる会は、彼らの指定するところの、汚い建物を見つけると、何でこんなボロ家屋を野放しにしてるのですか、みたいな質問状をおくりつけて、返答がないと片っぱしから訴えたそうです。

やり玉に挙げられるのは、パチンコ屋とかサラ金マツモトキヨシです。内容証明が届いたので、開けてみたら建物が汚いとか書いてあったのか。起業家は金銭感覚が突出した人たちなので、センスがないのは仕方がない。誰かが規制しないと、街中がパチンコパーラーの内装のように、ゴテゴテ、ギラギラ、してしまうかもしれません。

東京都は、建築基準とかチェックするのと同じで、景観チェック員とか作ったのだろうか。耐震基準スキャンダルの、次の建築景気が欲しかったところです。

石原さんは江戸の風景が美しいとヌルいことを言っているようですが、プロの建築ライターらしく、どれだけ美しい景観をつくる会が頑張っても、明治の建築は欧米のパクリなので、どうせ観光資源にはなりません残念でした、と指摘します。

東京はどうしてもビルが多いのだから、現代的なのが当たり前で、江戸にしたら居住可能人口が大幅に減るし、旧日本家屋は地方の観光資源に取っておいてあげてくださいとも思います。

日本家屋式ビルなんて開発したら、海外にも売れるかもしれませんが、ゼネコンさんどうですか。五重の塔とか、海外の東洋趣味の金持ちが好きそうです。

その辺ヨーロッパとか、どういう言い方で街並み規制をしているのかがわからないですが。住人に老朽化させないメンテナンスの義務があり、新築するときも、似たタイプの建物しか建てられないと聞いたことがあります。一方アメリカの郊外はゼネコン無双の汚い日本型、地域にもよりますが。

しかも、埼玉かどっかのラーメン屋と駐車場のある道端が、どうしようもなくダレた風景であるとか、筆者は筆者でべつの感覚を提示しています。さらにカオスです。醜いとか美しいとか、言うの嫌いじゃなかったんかい。

筆者はこの問題に興味を持ち、アンケートを取ったそうですが、廃墟ツアーがウケている一方で、建築学部1年のレポートが、美しい建物=ミサワホーム、汚い=廃墟、というのは意外です。ミサワホームが美しいって、建築家としてどうですか。ゼネコンとかに就職する人がいるからか。


第一部はそういう石原さんの行政へのツッコミがメインで、第二部は、アジアの都市など、醜いようで魅力的なモノたちをフューチャーします。西欧の統率の取れた都市計画とは違う、カオスで、ポストモダン風水とか、変な都市群です。

石原さんに言わせれば、汚い東洋の都市ですが、千葉のさらりまん、ブレードランナー強力わかもと、欧米のSFによくでてくるあやしい街並みなど、世界にはマニアックなファンがいます。

ヨーロッパの観光都市も、歴史的建造物に唐突にマックやGAPが入ってて、微妙ですが、背に腹は変えれないか。300年続く住宅を取り壊さなくて済むように、相続税も低めに抑えるとか、難しいかじ取りが求められます。

相続税の代わりの社会福祉として、人に貸すとかすればいいのですが、汚く使われても困るし、難しいです。でも、欧州の邸宅とか、古式の立派な集合住宅とか、探すとよく貸しに出ているそうです。


結局、どう作るとダレないのか、汐留がオヤジ街になったのは、ゼネコンが資金調達する金融工学に原因があるんですみたいなことは、書いてありません。つまり、金回りの速いテナントを入れて、資金回収していかないといけないので、息の長い街づくりができません。

談合入札など、土建行政との関連とか、昔ながらの大工の手作りなら美しい建物が出来るのか、とか。

本書は、表立っては、感覚レベルの応酬で終わってしまい、あまり本質的な批判はできないのか。住人の利益と、公共の利益の衝突もあるので、一筋縄ではいきません。面白いテーマ、追加企画で、もう少し突っ込んだ話を期待したいです。

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