ちきうアネクドート

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アメリカの真の支配者 コーク一族

アメリカの真の支配者 コーク一族
アメリカの真の支配者 コーク一族 ダニエル・シュルマン 古村 治彦

講談社 2015-12-09
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取材すごい、表現も面白いです。

アメリカの企業グループ、コーク・インダストリーは石油化学で台頭し、運送会社などを買収していって、アメリカ2位クラスの大財閥へのし上がりますが、

政府の環境規制や、競合他社からのチートの訴え、株主訴訟など、訴訟とは生涯縁が切れません。

非上場企業で株式を親族や親しい企業人が持つスタイルですが、流動性が無く資産として有効でないので、株主サイドの家族から経営サイドの家族が訴えられて泥沼になります。

親族の争いに心を痛めた母親が、訴訟を起こしている人には遺産を渡さない契約書を作りますが、その母親を訴えるなどますます泥沼へ。

コークの創業者は、やはり油田開発の盛んなソ連に技術供与に行ったときに、労働者や庶民の苦しい暮らし向きに落胆し、また共産圏を世界に広めると豪語する通訳に遭遇します。

そのトラウマで初代社長には、抜きがたい反共意識が植えつけられ、アメリカの反共の砦、ジョン・バーチ協会の設立に携わったことで有名です。

子供世代はリバタリアン(政府の介入を最小限に抑える、ことによっては無政府状態を志向する政治思想)の研究所などに金を出し、共和党の大統領選にかかわったりします。最近の税金下げろティー・パーティーも彼らの業績によるところが大とか。

彼らのリバタリアンの信条は過激で、大口顧客の献金を組織化し、他のリバタリアンや共和党員から反発を食らい、共和党勢力が混乱する一因になります。

彼らの企業は、石油を海にタレ流したり、他人の土地から石油を盗んだり、頻繁に訴えられ、

それで政府の規制を厭うリバタリアンというのはますます野放図になってヤバイのではないかと思うが、設立者たちは気狂いとか大悪党ではなく、教養人で有能なビジネスマンです。

病院や美術館、学校などへの、寄付もスゴイ。

石油関連事業は、効率化を目指すと環境破壊や事故につながるのが怖いか。

この乖離が、世間から悪の親玉扱いされる要因です。ソ連をオクトパスと恐怖しながら、自らもオクトパス化してネットワークを築きます。

それで慈善事業すら陰謀の一環だという人もいて、オバマの選挙戦でも名指しで敵視されたとか。

日本は原発関連はともかく、海外の油田開発などに手を貸す日本の商社などが、事故を起こしたとか石油を盗んだという話は聞かず、

海外なので遠慮しているのか、気を引き締めているのか、

何故アメリカの石油業界ばかりがこう黒いのか、仕組みは良く分かりませんが、マニアックな記述が面白いです。資源関連は、どこも大抵黒いですが。

日本人は日本人を酷使するが、戦争のトラウマで外国では大人しいのか。

最近ではシェール・オイルを掘削するクラッキング(水圧で石油を吸い上げる手法)で、頻繁に地震が起こっているとか、アメリカ大丈夫か。

石油の量などは、温度や天候などによって計測される量も違い、正確な契約書が作りにくいとか、それもモメる一因のようです。

訴訟をすれば、例え勝っても3分の1は弁護士が持っていき、3分の1は政府が持っていくと先代の教訓を残しながら、訴訟合戦が止められず、世間に手を突っ込まれたくない非上場企業なのに、メディアを大いに賑わせます。

が、読んでいて爽快感があるのは、汚職、談合でゴチャゴチャやる護送船団の準社会主義的な日本とは大違いです。

これからのコークは、政府も顧客と見なし、とチラっと書いてありますが、トランプ候補の台頭と言い、アメリカのリバタリアン路線はどうなるか。

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