ちきうアネクドート

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エンドレス派遣村7

 

大1と大2。
ここのアルバイトは、大学の生協の求人に出ていた。

官庁内のホワイト・コンビニで、つまらないことで気を悪くするクレーマー客や、店内でションベンを漏らす爺さんなどはいない。

深夜営業していても、フルフェイスの客や、強盗はまず来ない。

「霞1さんが、ここの元住人っていうのは、さすがにデマじゃないの」

「でも買いに来た人と仲良くしてるじゃん、旧知の仲って感じ。難しい話をしてることもあるし」

「霞1さんみたいな人が来るのは迷惑だよ。ああいう人がくると、俺たち、絶対採用されないよ。ここは競争率高かったよ」

「競争率高いとか、何で知ってるの」
「100人くらい来ましたよ、って店長が言ってたから」

「こういうところって、何で、競争率高いんだろう。
俺ら、国会議事堂に見学にくる小学生みたいだよね。誰に売ろうとコンビニはコンビニなのに」

「俺は国会土産の変な湯呑とか、ピーポ君人形が欲しかった」

「休みの日に、来ればいいじゃん」

「店長は、霞1さんに、面倒くさい書類を、やってもらってるから、とか言ってたけど」

 


「霞1さんは、秒速1000円稼げるのに、時給1000円とか、アホ臭くないですか?」
「秒速1000円とか稼げないから。秒速って何?」
「神の手を持つデイトレーダーとか」
「俺たち株とかやる根性がないから、コンビニで働いてるんですよ。農耕民族ですよ」
「霞1さんは、どうせ忙しいときに、上の階から、呼ばれるんでしょう、それでだいたい生計が立つとか。専門職は、給料良さそうだし。何でコンビニのバイトとかやるんですか」


「子供に家でゴロゴロしてると思われると、嫌だし。

ここに未練があるから、同僚の顔が見たいし、忙しいときに呼ぶの忘れないでね、とか求職活動してる」

「求職活動しないと呼んでもらえないんですか?」
「そんなことはないと思うけど、忙しいときは、毎回けっこうな人数呼んでるし」

国家公務員は、恵まれすぎた給与と職場環境が、貧窮化した庶民の怨嗟を浴び、

「2位じゃなぜ駄目なんですか」「事業仕訳」などと、だんだんジリ貧になって行き、業務の一部を派遣で賄うにまでなった。

「それにしても、コンビニってことは、無いじゃないですか。貯金あるなら、アメリカにMBA取りに行くとか」
「MBA……最近聞かないッスね」

大1は首をひねった。
MBA留学の募集、うちの大学でもあったっけ。

その資料は、かなり埃をかぶっていて、学生協の資料室みたいなところにあった。

「MBAホルダーは何やってるんですか?
世界、富裕層ニートの同窓会みたいになってないの?」

「いやいやいや、MBAはそんなバカじゃ取れないよ」

「MBAの大学は、就職のアンケートとか取ってないのかな。

俺はしばらく小学校の同窓会行ってないけど、俺たち以上にシビアな感じ」

「小学校の同窓会かよ」

「エリートの世界を、俺たちの感覚で語っちゃいけないんだよ。ホラ、霞1さんに、無視されてるし」

霞1は気が付かないフリや能面で、気まずさを隠すのが職業的習性だ。

財務省は、めぼしいメンバーを国費でMBA留学させていた。

バブルを引き起こしたプラザ合意など、世界の金融政策が、

ここ極東の孤島には寝耳に水なことが多く、旧大蔵省は動揺した。

それで、政策決定の為の、非公式な地球規模の情報網が欲しかったらしい。

霞1は、行ってないので、知らない。

そういうのに選ばれるのは、幹部候補の人だ。

霞1みたいに、常勤を外されるメンバーには関係ない。

しかし洋行帰りの官僚は、官庁にいても、その経営手腕を、生かせないせいか、野に下って起業した人などがいた。

 

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