ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

アメリカはカモじゃない2

 

その週のユーチューブで一番のアクセスを稼いだのは、入光石油の掘削技術者、森口さんの処刑画像だった。

技術者の功績をたたえるプロジェクト・エックスで、ロシア政府のタチの悪い政策で水泡に帰した、シベリアのサハリン油田の回にも出てきたことがあるらしい。

当時は違う会社にいたようだ。

そういう効果もあり、不当に社員たちを拘束したアラブのテロリストへ、断固たる措置を取らない、日本政府に抗議して、デモ隊などが繰りだした。

左翼も対抗して、とりあえず平和のプラカードを掲げ、過激な一部は人間の鎖などを募集したが、平和の為に死んでも良いとか、そんな根性のある人は、世の中に、あまりいない。

それに、犬死だし、と多くの人は考えた。

最早、湾岸戦争時のように、1000億円だしても誰も、何もしてくれない。イラクの日本人は助からない。それに、そんな金、ないし。

いずれにせよ、戦闘行為を、特殊部隊に任せておくことに、人々は慣れていた。

 

 

 

 

「でも、ここで斡旋したお仕事を、途中で止めたの、5回目ですよね。

あまりそういうことを繰り返されると、紹介する方の信用も傷つくし、紹介状にも傷がついていまいます」

ソニックは始めのうちはシラフで通っていたのが、最近は酒臭い。

ここでは酒臭い奴は珍しくない。職員のいる対面の席まで匂う程酒臭ければ、注意はされるが、出禁まではされてない。

ソニックは地元では誰にでも親しく話しかける、というか、絡むが、ココはアウェイって感じ。安酒場じゃない。

職員と利用者が、お友達になってはいけないという規定があるかどうか、ソニックは知らない。

イケすかないセリフを吐いた、目の前の奴とは、そろそろ互いに顔を覚えられていた。

また来ましたね、などとは、死んでも言わないのが、マナーというか意地というか、互いに不明だった。微妙だった。

ソニックは腹に力を込めた。

「給料が安すぎるし、あんなキツイ作業はこれまでなかった。俺は思うんだが、あんなのはチンクやメキがやるような仕事だ」

「私としても、あなたの条件にあったお仕事を用意したいです。

労働条件が悪いなら、労働組合に相談する、みたいなことも考えられます」

「アンタには俺がアカに見えるのか」

アメリカ国旗がプリントされているシャツが、職安1の目線の先にある。

多分、彼と同じシャツを着ている人は、この街にあと3人くらいいる。

職安1は投票に行かないし、「きょうわとう」とか「みんしゅとう」とか、どうでもよかったが

彼らが「チンク」や「メキ」を追い出し、その結果、彼らのやっていたキツイ仕事は彼らに回ってきた。

職安1が労働組合を持ち出したせいか、ソニックは機嫌を悪くした。

「おいおい、調子に乗ってるんじゃないのか。政府の寄生中が」
「そういう苦情を頂く場所ではないんです」

「お前がフカフカの椅子の上でやってるその仕事をよこせ」
「所定の窓口で応募してください。それに、この椅子はフカフカじゃないし」
「じゃあ座らせてみろ」
「用事が無いなら、帰ってくださいよ」


翌日、その職業斡旋所は、デモ隊に囲まれた。

職業斡旋所を訪れたソニックは、

荷物に隠したビデオカメラを持ちこんでいて、それは、すぐにネットで広まった。

映像を見ても、職安1は特に調子に乗っているわけではないが、

レッド・ネックの彼らにとって、役所の仕事をやっている取り澄ました大卒野郎は、全員アカだった。

 

 


金融危機に続く不況に悩まされ、その出口を求めて、マチズモで知られる大統領を選んだアメリカは、

ヒトラーもとい、第二のケインズ政策と称し、

とりあえず、廃墟になったデトロイトの街並みや、

地方で民営化されて採算性が無い為に放置されている水道管などを直していたが、

一通り直し終わると、

また余剰人員の雇用が問題になった。ただでさえ、産業用ロボットやAIの進展は目覚ましい。

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