ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

アメリカはカモじゃない5


ここはアンマンだか、ダッカだか、中東の地名はなかなか覚えられない。

そこで軍用ヘリが降ろされ、

ハーシェルたち、ライト・ウィング社の傭兵は集合した。

傭兵といっても、ほとんど訓練を受けない、素人さん。

ハーシェルが見たところ、部隊は2つあった。

こっちは、普通の、俺たちみたいな奴。みんな、白くてプヨプヨしてる、こう言っては何だけど。

向こうは、明らかに普通じゃない奴ら。

黒人、白人、ヒスパニック、アジア人、悪い奴らの、世界博覧会みたいになっていた。

髪の毛を三つ編みにしているやつもいるし、モヒカンもいた。

身長が2メートルくらいの奴が2人くらいいた。ハーケンクロイツの入れ墨も、最低5コは確認できる。

ハーシェルは、彼らが囚人か何かではないかと疑った。

薬物の更生施設から連れてきたとか。
もしハーシェルたちが、ハーケンクロイツの入れ墨を入れたら、さすがにそいつは危ない奴だと見なされた。

ハイスクールで銃を乱射したり、芸能人をコンサートで射殺したりする類の奴だ。


日本語が書いてある花柄のバスに、2つに分けて詰め込まれ、次の目的地へ出発した。

多分幼稚園か何かの送迎車じゃないだろうか。

途上国ではよく、型落ちのバスやトラックが走っている。

これは民間人を装ったカモフラージュだそうで、基地へつけば、もっとマトモな装備があるとのこと。

「この傭兵会社は、持ち主が日本のやつなんだって話だ」
「何だって?この中にジャップがいるか?」

身長2メートルの1人が、のっそりソニックの方へ近づいてきた。アジア顔、ポニーテイル。

こいつはヤバイ方のバスに乗ったんじゃないのか。何で俺たちと一緒にいる。ソニックはそいつを見上げた。

「俺はジャップだ。日本人だ。だけど、多分、日本国籍は持ってない。俺の記録は抹消されちまった」
「じゃあどこの国籍なんだ」
「知らないね。ソマリアとか、そうのじゃないの」
「自分の国籍を知らないのかよ」
「誰かがくれたんだよ。ここに来る為に」

 

 

 

 

「日本人が映ってる」
「中国人かもしれないだろ」

ユーチューブにアップされた、ダーイッシュと交戦したアメリカの傭兵部隊の映像は、大した話題を呼ばなかったが、

その傭兵会社が日本のものだと、一部のメディアが書きたてると、まずは左翼の標的になった。

だいたい、傭兵会社の名称が、ライト・ウィング社。そのものズバリの、右翼。または、正しい翼。権利の翼。どう訳すにせよ、いろいろ胡散臭い。

アメリカでは、何だと思われているのか。


日本は既に、尖閣や沖縄の侵略にあい、大国中国へ一国で対抗するのは限界だった。

各国の軍隊の行動は、国会の決議と法律で厳しく縛られているが、民間軍事会社はその限りではない。

ライト・ウィング社は、在籍地がアメリカで、経営陣に日本人の名前が並んでいるだけだった。

そして申し訳程度に日本人の傭兵を1人、突っ込んだ。

日本語をしゃべるが、日本国籍の無い奴だ。責任を追及されてもシカトできるようにか、経緯は分からない。

防衛相省辺りには、本当に知らないか、知らないフリをしてる人が混じっていた。

長い不景気が世界を覆う。

日本にも、アメリカにも、いや、世界中に、戦争へ行ってドカンとやりたいという人々が、チラホラと出始めていた。

彼らが国内政治に関与すると、ナチズムやヘイト・クライムなどの紛争を起こす。かといって、正規の軍隊に採用されるほどの戦力は無い。

全ての人が徴兵されるのは問題だが、本人が戦闘への参加を望んでいる以上、止めることは無いのではないか。

このペーパー・カンパニーは、そうした部隊の試作品だった。

反戦活動家が彼らを止めようとしても、アカか、と追い払われた。


ただ、この映像はライト・ウィング社の傭兵ではなかった。左翼は飛ばし記事を書いた。

ダーイッシュとの交戦映像は、自衛隊とアメリカの傭兵会社、ブラック・ウォーターのものだった。

日本人が混じっていたのはその為だ。

それが判明しても、ライト・ウィング社の存在は噂を呼んだ。

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