ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

神聖モテモテ帝国2


配給を待つ行列は、モスクワからサンクトペテルブルクまでつながっていた。

列は全く進む気配がない。かといって、並ばないと何も手に入らない。

「祖国ソビエトは粛清しない」

などの張り紙がしてあるが、それすら、紙を食用にすることを目論む人によって、破られていた。

「マジ腹減った。背中がお腹に張り付いてる」
「侵略フラグ立ってるよね。東欧の輝く麦畑が俺たちを待ってる」
シベリアはどうだ?シベリアには熊がいる」
黒海の方へ降りて、魚を取ろう」

 

 

 

 


東欧の人々は白い鳩を飛ばした。

凶暴な帝国が西と東に成立すれば、その中間領域が、草刈り場になり、荒らされるのは時間の問題だった。

白い鳩は、平和の祭典で多用される。ジョン・ウーがヤクザ映画で飛ばすことも多いが。

東欧方面から飛んでくる鳩を、ソビエト人民は焼いて食っていた。

ドイツ人は伝書鳩にして、世界にスパイ網を敷いた。

 

 

 


観客は、不況でクサクサしていた。

ハイパーインフレで無駄になった札束が、おひねりとして飛び交った。貰ってもうれしくない。

誰も拾わないから、足元が紙屑で埋まった。


「プリンスチャアーーチル」

迫力は、あるといえばあるし、ないといえばない。
彼らは決してグラディエーターみたいな強靭な肉体をしていない。

「スタアーリーン」

「レーニンを殺したのは、お前だろ!」
「奴らを粛清しろ!」

観客のヤジは集音マイクで拡大されてた。辺りは騒がしい。
まともな人間はこんなの見ない。
しかし多くの地域を巻き込む大戦中に、まともな人間を見つけるのは、ラクダを針の穴に通すように難しい。
誰しもが狂気に陥り、進軍の魔の手が伸びれば、逃げ惑う。

「ヒイーットラー」
「そのチョビ髭取れよ!」「お前ユダヤ人だろ!」

剣闘士たちは、軍服の時もあれば、背広のこともあり、たまに裸の時もあった。

どういう演出が盛り上がるのか、興行主は考えあぐねていた

民衆にとって彼らは何なのか。

彼らは、確かに一時期、カリスマ的な人気を博した。

後に、虐殺や失政で評判を落とした。

ナチスドイツのブリッツ・クリークを食い止め、自由主義世界を救った、チャーチルを除いては。

その彼だって、もしかしたらイギリスに植民地化された国々では、嫌われているかもしれないし。

 

 

 

 

白い鳩で、供給待ちの行列は短くなった、列はモスクワの郊外あたりにまでしか伸びなくなった。

ソ連では鳩を箱を作って捕まえる方法が考案され、1匹1000ペソで売れた。

猟銃を持っていれば、それで撃つこともできた。

鳩はまだまだ足りネーな、1000ペソじゃ、人々には買えない。

売り手はウハウハだが。が、箱もあまりたくさんあると、1つの箱にそう何匹も掛かってくれない。

猟銃で狩る場合は、1匹の鳩を同時に誰かが見つけると、撃ちあいになり、物騒だった。

鳩狩りは、労多くして実りの少ない作業になってきた。

それに、鳩を焼いて食うのは、ソ連の西方の流行だったが、すぐに当局に漏れた。

「鳩を売るのをやめろ。食糧は、政府が管理して分ける」

当然、鳩は、人々の間には回ってこなくなった。

「だけどこれは、東欧を脅せばもっと飛ばしてくるってことじゃない?」

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