ちきうアネクドート

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神聖モテモテ帝国8


極度の疲労に襲われているときは、面倒臭くてまったくしゃべらないか、しゃべり倒して、絶望と空腹を紛らわせるかのどちらかだ。

「俺ら、ジプシーのフリをして逃げればよかったじゃん」

「ジプシーもガス室に入ってるよ。俺たちは、どこか違う地域に逃げたほうが良かったよ」

「その違う地域もナチスが取ったから、よほど遠出しないと無理です」

エルサレム周辺に祖国ができるっていう噂、アレ、マジだと思った?」

「あんなの、貧乏人は受け付けてないよ。

何処も同じ、移民を受け入れる地域は、能力と財産のある有能人材しかいらない。

それが古代から現代にいたる普遍的事実だよ」

「俺たち、何で南米とか行かないんですか」
「船がないからじゃない」
「全員で出資しても駄目なの」

「船は戦争で出払ってるし、出ても、Uボートとかに撃沈されるだろうし」

「コレ、旧約聖書に書き加えますか?それとも生々しくて無理ですか」

「2000年後くらいには入ってるんじゃないの。アンネの福音書、とか言って」

「迫害されれば迫害されるほど、カリスマ性が増すのが俺たちだよ。

それが人々を戦争へ駆り立てる。例え負け戦であっても、突撃して行く人は減らない。

祖国の為に身を捧げた英雄として、この世に、永久に消えない名が残り、あの世で、極上の生活ができる」

「そういう兵士に共通の心理を見出すと、ユダヤ人だって戦争してる側だってことにされますよ」

イスラエルは戦争しまくってますよ、アレどうなんですか。

コレまた2000年後に何かかれるか、分かったもんじゃないですよ。偽りの繁栄期を迎えた、とか。

繁栄してしまったら、後世に教訓として残すのは、技術書とか、そういうのだけでしょう。

繁栄したこと自体は、ただの自慢ですから、書くことない。イケメンの自伝みたいな感じ。

でも、そういう時期もありましたっけ。ヘロデ王が何とか」

「お前は旧約聖書すら、ほとんど読まないほど文盲だから、ガス室に入ってるのか」

「しかしこのシャワー室は、何も出てこないんだけど、何なのか、ドッキリなの」

「故障してるんじゃないの。命拾いですね、今日のところは」


命拾いした彼らは、苦心惨憺の上、遠い砂漠の地へたどり着いた。

徒歩もあれば、親切に船を出してくれたところもあった。ボロ着の人々の群れ。たまに山高帽をかぶった紳士の姿。

辺り一面の砂漠と砂嵐。

何もない。何もないよ。

これが俺たちの故郷。

この土地は、異教徒に取り囲まれ、ヨム・キプール(大贖罪日)に奇襲されるなど、また長い戦乱が続いた。

安住の地というよりは、新しい砦だった。最新鋭の。

祖国防衛してるうちに、面積が3倍になったりすることを、彼らはまだ知らない。

寄り集まったユダヤ人たちの手元には多くのものがあった、白い鳩、グラディエーターたちのブロマイド、偽札、ハイパー・インフレて紙屑になった古い札、ナチスの眼を盗んで逃げ通した金歯、ダイヤモンド、

マイン・カンプ、共産党宣言ベンジャミン・フランクリンの自伝。

戦車とか核爆弾を持った奴は、アメリカへ行った。

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