ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

bananaman 5

 


「物流に進出したい?
それは、無理でしょう。トラックなんか、昔ながらの縄張りがあるし」

「しかし会社は、余剰資金を活用したがっています。

この車両は、中国で既に業績を上げることに成功しています」

取引相手は、何このトラックという顔をしていた。本当にもう、中国人はバカだな。そういう顔。

でもシェンは、一応CEOなんだし、ホニャララグループは、重要な取引先で、足向けできない企業だ。

「こんなトラックは、確かに、見たことないよ。現物を見てみないと、確かなことは言えないが。

こういったものの、許認可を取るのは、市のレベルじゃ無理だよ。国会を通さないといけない」


「配送用のシステムや、運転手用のアプリなんかも、中国で実証済みです」

「そういうのは、欧州でやりたいんだよ。ウチの縄張りだよ」

「当社は欧州の企業です。CEOの1人である私が、たまたま中国出身なだけです。

それに、街並みの規制に煩い欧州で出来ますか?」

「それで中国の実証データが貰える?」

「ええ。アマゾンを潰したくないですか」

「潰したいんですか」

「別に、潰したくはないですけど。

欧州はアマゾンに対抗しているように、見えるんです。

対抗まではしてないかもしれませんが、保険を掛けていて、アメリカ企業の、一極支配を嫌うでしょう」

オッサン連中、4人ほどの会話。父さんは、あまりしゃべっていない。

エレンと彼女を誘ったアイスブルーのスーツの女性は、レズビアンカップルみたいにくっついて飲んでいた。

重役連中の飲んでいる背後の席に密着しても、怪しまれないように。

通りがかりの従業員や客が、女って、美人とブスが仲良いよね、みたいな、したり顔で2人を見ていく。

 

 

 

「エレンは、父さんがどういう不正をしてるか、知ってるか」

エレンは、ルーラントの姿に呆れた。
急いで出てきた感じのツッカケ、一週間くらい洗ってなそうなボサボサの頭、何とかしろ。忙しいのか。

「お兄ちゃんは、何でお父さんと同じジャンルの研究をしてるの?」

「俺が専攻を選んだのは、大学一年生のときだよ。

父さんはその頃、まだアイフォンの部品工場のマネージャーをしてた。無関係だよ」

エレンは、夜総会の録音を、兄に聞かせた。この会話の、どこが不正か分からないので、聞いて欲しい。

「コレ、技術流出とか、そういうのじゃないよ」

「技術流出じゃないの?車両を一般道とかで、走行させてみて得たデータとかでしょ」

「俺たちは、路上での実証とかは他に任せてるよ。

もちろん、走らせることは走らせるんだけど。テストコースみたいなやつだよ。自動車学校くらいの規模。

試作品を作って、おかしなところを直して、企業とかの注文通りに修正して、また修正して、とか」

「自動車学校のコースと、実際の路上と、どう違うの?」

「路上での実証は、大がかりな政策動員とかが要るんじゃないかな。

市民の協力が必要になるし、税金も使う。オバマのスマートグリットとか」

ルーラントは、研究室の内紛についてしゃべる機会を逸した。

妹はバカじゃないから、何でも聞いてくれるだろう。話し相手が妹しかいないのは悲しいが、

ルーラントは研究室にこもっているから出会いがないし、父さんのことを心置きなく話せるのはエレンくらいしかいない。

有名な中国人CEOの息子というポジションは常に、微妙だ。

金目当ての人が近寄ってくるか、逆に人種差別を受けるか。

欧州の重役連中は、ビジネスに必要な場面以外で、あんまり表に出ないし、プライベートを大衆に晒さない。

シェンは、そのアンチテーゼのような存在、

会社が積極的に世間に売り出し、人々の耳目を集める。

ベルルスコーニとかトランプ辺りが始めた、ビジネスとプライベートと虚実の入り混じった宣伝広告、ショービジネスだ。

 

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