ちきうアネクドート

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Кури́льские острова́7

 

 

プライベート・バンクは顧客名を絶対に漏らさないこと、たとえ相手がCIAやインターポールであっても、という不問律で世界から信頼を得ていた。

スイスやバミューダ諸島

ところが某タックスヘイブンの顧客リストが、モザイクも何もなしでソックリそのまま、パナマ文書で流出し、世界へ衝撃を与えた。

そこに、本当に大切な顧客は載っていなかったかもしれないが。

とりあえず晒された彼らはコケにされ、世間から後ろ指を指され、大金を狙った詐欺師の集団にストーカーされ、途方に暮れた。

ウチなら絶対に秘密は漏れないと、KGBが大言壮語した。

それじゃあ、KGB自体に漏れるんじゃないかと、全ての人がツッコんだが、ロシアにはあまり金融のノウハウがない。

金融機関はひしめき合っていた。

こういうことについて、日本は国際交渉力がなくて無害で、ロシアはよくやり過ぎて、人々を唖然とさせていた。

 

加藤たちは、一応この辺の金融制度を調べたが、ハッキリしたことが分からなかった。

素人お断りの臭いがプンプンしていた。

ロシア法の、専門家?シベリア自治区特例法?それ、どこにいるの?

5億くらいもっていかないと、プーチンやトランプに、マサとか呼んでもらえないのだ。

別にウンコと呼ばれようが、仕事が取れれば、良いんだけど。

マサとかヨシとか呼ばれて、浮かれていたら、ゴッソリ詐欺にあっていた、なんて脇の甘い日本人はいくらでも見てきた。

でも、ウンコと呼ばれていたら、商談は上手くいかないな。

加藤たちは、商談が、暗礁に乗り上げたとき、互いにウンコ呼ばわりすることくらいはあった。

風間は、あるカジノに立ち寄ったときに、マフィアとスタッフが換金でモメているのを目にした。

 

「ちょっと待ってください。これはさすがに、汚い金でしょう。血とかついてるし」

エーリンは顧客の評判は良かったが、換金所にくると、疎まれた。マネージャーはエーリンの足を踏んだ。

「黙って受け取って、この証明証を出せばいいんだよ。この金は犯罪の成果物じゃありません、カジノで稼いだ金ですって」

「でもこの血はアレですよ。殺人ほう助とかで捕まるかもしれない。一応通報した方がよくないですか?」

「で、どこに?」

 

 

 

北方領土=南クリル諸島の治安は、微妙なバランスによって成り立っていた。

先進国の法律家は最近、暇なので、ロシアの法律は易々と攻略された。当局とのイタチゴッコが続いた。

ロシアに法治は根づいていないから、先進国の法律難民が本気を出すと面倒臭い。

それで当局は、つまらない裁判所の判決などで誤魔化したが、それをビジネス雑誌などに書かれてブーメランを食らっていた。

巷に、脱法ロシアなる冊子が出回っていることを、プーチンは知らない。

周囲が彼の目に触れないように気を使っていた。


「その血は、こいつが、庭切ばさみを拭いていて、切ったんだよ、ホラ」

「俺ら最近、人手がいなくて、庭の手入れまで自分らでやってるの」

血の付いた札束を出した客の1人は、もう1人の客の手を取って、エーリンたちの前に出した。

男は、手に包帯をしていた。

「あとでクレーム来たらヤバいじゃないですか。要人の暗殺に関わっていたとか。これが、そいつを撃った血だとか」

「どこからクレームがくるんだよ。ロシアの特殊警察か?CIAか?」

「日本の警察は、ハイ、ハイって聞いて、通報があったっていう記録だけ残してくれるじゃないですか」

 

 


カジノ資本主義でウハウハか?」
「めっそうもありません。

利用者のデータとか、ここに置いておきますから」

プーチンはクール・ビューティーなどと世界で騒がれているが、本当に接触する人間にとっては、たまったものではなかった。

彼のブルーグレーの目に射竦められると、蛇に似睨まれたカエルのようになってしまう。

プーチンは市場原理なんか取り入れたくなかった。

金融は嫌いだ。とくに、昔の西洋式のやつは。

だからカジノ関係者も、いつもにもまして、氷のような冷たい目で見た。

それに領土を日本と共同所有していることも、気に食わなかった。マジ、殺すから。

資産家とその情報は、主に英連邦に分布しているタックスヘイブンで吸い取られて

ジョージソロスなどの投機機関が、ルーブルをアタックしたりして、かつて新興ロシアを水際まで追い詰めた。

ソ連崩壊後のロシアは新興財閥のオルガリヒにさんざん苦しめられて、プーチンはやっとその闘争に勝ったのだ。

だから金と情報は欲しかったが、南の僻地に追いやった。

ロシアは聖なる大地であり、下手なゼニゲバにうろついてほしくない。

 

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