ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

Lehman Brothers Holdings Inc.(リーマンブ・ラザーズ)1

 

何の変哲もない、アメリカのアッパーミドルクラスに見られる、小奇麗な都市型のマンション、変わっているのは、この部屋の住人の肌が黒い事だけ。

この辺りは、以前スラムクリーニングをして、中心街の再開発をして、街並みを整えたから、治安の悪化を嫌う富裕層が、必ずしも郊外へ逃げる必要がなくなった。

「黒人の金融マンの方、珍しいですね」

「黒人の資産家の方も珍しいですよ、HAHAHA」

「他の、お客さんで、誰かいますか。プリンスとか、マイケル・ジョーダンとか、コンドリーザ・ライスとか。

私は成功した会社にいた、システム・エンジニアなんですが、よく水道管修理の人と間違えられます。私服で仕事してるのに、ですよ」

マクスウェルは聖書のセースルマンとよく間違えられた。

リーマンフラフープは、店頭やインターネットで多くの金融商品を扱うが、積極的に顧客回りをした。

それで素人向けの営業トークの名人と、専門知識を持ったスタッフが組んで顧客回りをすることがあって、

マクスウェルは専門知識の方だ。イェール大学卒の、秀才。出身大学や職業を言うと、ギャグだと勘違いされ、チャライ奴だと誤解されていた。

「フォックスさんは、資産運用とか、興味ありますか?」

「僕もあんまり、キャディラックから札びらをばらまいたり、パーティーしてるフロアを全部買い取ったり、

誰もが手元を見るような、高い腕時計買ったり、そういう気にはなれないです」

「じゃあ資産運用でいきましょう。

心配なら、ユダヤの格言の本とかもありますよ。

みなさん、初心者の方も多いです。安心して下さい。

こんなに資産運用の方法が、多様化したのは、ここ最近ですから」

マクスウェルは、当時、自分の仕事に、疑問を持っていなかった。

アメリカの金融は、確かに人々の欲望をうまく操り、

資金の余っているところから、足りないところへ、循環させて、アメリカを繁栄させていた。

貧しい移民だったマクスウェルには、そのありがたみが良く分かる。

 

 


「ゲイの人や、浮気している人用のストゥーディオアパートメントを作りましょう。

ウェブサイトにもあるでしょう、そういうの。浮気相手を探す、マディソン・アシュレイとか。

そうした一般企業がなかなか拾えない、ニッチ層のニーズは高いです。

そうすれば、例えば、男同士で朝方にイチャつきながら帰宅しても、たまたまツッカケを履いてゴミを出しに出た隣の人に、いちいち睨まれる必要はありません」

リーマンBたちは、かなり無理な企画会議もやった。夜半に入り、眠気が入ると、アイデアの浮遊度が高くなる。

「そりゃあ、隣の部屋の人には睨まれなくて済むだろうけど、近隣の住人や隣町の人ににらまれたら、同じじゃないか。

群れている分、目立ってタチが悪いよ」

「ゲイタウンだってあるでしょう。既婚者の、頭に白いものが混じった連中が、お姉さんと連れ立って歩いている界隈とか」

「この地区をそういう色物地区にするつもりか。それには、近隣住人や自治体の幹部連中に了承をとらないと、マズイよ」

リーマンBは開発対象地区を指した。

その中でリーマンフラフープ子会社のリーマンフラフープ不動産が確保した敷地は数点だけ。ここはリベラルな地区ではない。

「それを言ったら、カラードを使ってる工場主とか完全にアウトですよ。カラードはともかく、不法移民とかを」

「だから白人は、郊外に逃げてるじゃん」

「街を1つ買い取るわけにもいかないし。うちは、そういう商売じゃないですし」

「特殊な性癖の持ち主は、そうでない人たちより、生活に高い金を払っている。

偏見から身を守り、プライバシーを確保する為に。

完璧なプライベートが保証されている高級マンションや、広い屋敷を買えなくて悩んでいる人は多いだろう。

ニーズはあるかもしれないが、手を出すには気が引けるアイデアだね。

例えば、右翼の嫌がらせ電話が止まずに、業務にならなくなったらどうするよ」

リーマンAとリーマンBは、コネ入社した、リーマンフラフープ社の創業者、リーマン兄弟の縁戚だった。リーマンの子孫は、リーマンフラフープ社に、まだ沢山いた。