ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

Lehman Brothers Holdings Inc.3

 

リーマンDは、債権回収の経験の多いインテリマ・フィアに話を聞いた。元々あまり期待していなかった。

債権回収のスタイルが違うし、複雑に債務の組み合わされたサブプライム・ローン証券を回収するのは、原理的に不可能だからだ。が、不可能を可能にしろという指令が下りてくるのが、会社という代物だ。

来たのは、アロハシャツのアジア人。

「倒産の予定日にテロの予告をさせる?」

「そうです。そうするとテロ警報がでますが、

それでその辺をウロつくかどうかは、本人の自由です。

死にたくない人は控えるでしょう。

ただ、取り立て業者が、それで引っ込むかどうかは、しりませんが。

どこも債権回収には必死ですから」

「それじゃあ、意味がないじゃないか。他の取り立て業者が引っ込まないんだったら」

「でも少しでもライバルの債権回収者を減らしたかったら、試してみたらどうでしょう」

「あんたは、どこの未開人なのかね。

この界隈には、債権回収専門の業者、あんたのところでいう、サービサーっていうのがいるんだよ。

ああゴメン、どこの未開人か言っちゃって。

とにかく、債権回収に自ら、いちいちい出向いたりする人はあんまりいないよ。

っていうわけで、帰ってくれ」

相手にギャラを結構払ったので、リーマンDの機嫌は悪い。

 

 

 

 


あなたが秘密を隠している限り秘密はあなたの囚人である。
しかし、秘密を話した瞬間、あなたが秘密の囚人となる。
不幸を悲しむのは、不幸が起こってからでも遅くはない。

人に金を貸せば、敵を作ったことになる。

マクスウェルは、ユダヤ人富豪の本なんかを、たまに客にもススめていたが、自分でも愛読していた。

深い意味はないし、何の因縁もない。本当は、バフェットとかでも良い。そっちの方が良い。

歴史に学ぶなら、ユダヤ人が一番金融業を営んできた時間が長い。

しいていえば、彼のこんなスタンスが、マクスウェルをユダヤ本へ導いた。

ユダヤ人だって成功しているではないですか、あれだけ差別されたのに、血を吐くほど努力して、目の前の絶望的に高い壁を這いあがった。

だから私が、聖書のセールスマンではなくて、金融マンでも、可笑しくないのです。

昼間、ウォールストリートにあるリーマンフラフープへ勤め、夜は妻と子供のそばで眠る、彼の静かな生活は、唐突に、終わりを告げた。

 

 

ヒュッセルはノックもしないでドアをあけ、つかつかと入ってきた。

金髪に銀髪が混じるが、整った容貌のドイツ系アメリカ人だ。

大柄な体にスーツ姿が板につき、黙っていても、どこかの重役だと思われるだろう。

「あなたが余計なことをし過ぎているという噂を耳にしました」

マクスウェルは、見ていた書類から目を上げた。

歴史の教科書の奴隷船のシーンに載っていても不自然じゃない。そういう黒人が、スーツを着てCEOの椅子に座っている。

「余計なことですか」

「ここで、あなたに出来ることはほとんどありません。

何なら、そこのソファで寝ていて下さっても結構です」

「あなたは、誰に任命されたんですか。

私は自分が傀儡なことは知っています。でも、そこまで言われる筋合いはないですよ。

私が、ここの最高責任者です」

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