ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

Lehman Brothers Holdings Inc.7

 

危機的事態の収拾はタイミングがモノを言うし、家に帰っている暇なんかない。

「えふびーあーる」と「みんしゅとうぎいいん」、その他金融関係者は、

非公式の会合を持ったが、徹夜が続きすぎて、全員半分寝ていた。バリバリ仕事をしながら睡眠を取る、これ最強、とか言って。

「同じルールで行きましょう。行きつくところまで行くんです。

100倍のレバレッジを掛けて、給料を前払いしてください。

100倍のレバレッジを掛けて、自社株を買って下さい」

「オッ新規ビジネスか?」

事態は、そんなフェーズではない。が、あまり沈んでばかりでは、明日の朝、ベットから出れるかどうかも不安だ。

ベットというか、職場の簡易ベットや寝袋から。または、近隣の豪華ホテルのふかふかの布団から。

ここにいる人は、みんなマクスウェルみたいな立場だった。

どれだけ叩かれようと、退職金でハワイにでも逃げようと割り切っている人もいれば、サムライを気取り、勝手に悲壮感を漂わせる人がいた。

「100倍のレバレッジを。それから、借金を返す方法を、死ぬ気で考えるんです。

100倍の脳みそを絞り、100倍の汗を絞る。死ぬ気になれば、何でもできます。

私たちは、ヌクヌクしすぎです。何ですか、そのネクタイ、その靴。

昨日は、どこのレストランで食事を取りましたか」

「仰ることが、抽象的過ぎてわかりませんが」

「じゃあお前がこの事態を収拾する方法を、具体的に述べてみろ」

「エリートが死ぬのは、単純に無駄ですよ。

特攻隊とか、美化されてますが、真面目に考えて下さい。

カミカゼなんて言って、アレでオナれるバカが大量にいるってことですよ、

クビを切られた派遣労働者の群れや、アルカイダ辺りに」

「私たちが、クビを切られた派遣労働者の群れに入らないという保障が、どこにありますか」

「経歴と出身大学で、分かる人は分かってくれます。何しろ金融工学は、スター・ウォーズ計画とかやってた、先端人材が大量に転職した先と言われています」

「ところで死ぬ気借金を返す方法って何ですか」

「リーマンフラフープは何しろ政府に半分乗っ取られました。半分っていうか全部か」

「だったら、ほとんど官製市場なんですか、コレ。某国みたいな。オバノミクスとか、グリーンスパンノミクスとか、言われなくてよかったですね」

「大丈夫です。宇宙工学なんて完全に政府がケツモチでしたよ。恥じることは無い」

 

 

 

 

 

株主総会は荒れていた。

質疑応答で、「最高ですか」などの自作のギャグをかましたかったり、

「給料いくらですか」というイヤミを言う為に一株買った暇人まで。

株価は底をつき、シャレで株を買う一株株主が増えていた為、

リーマンフラフープはドヤ顔で株主たちを締めだしたなどのイチャモンを付けられないように、地元の野球スタジアムを借りた。

ヒュッセルが、カツラのオッサンを連れて、この株主総会に現れた。

スクリーンに大きく映し出されたカツラのオッサンは、象さんの形をしたスピーカーを持っていた。

最高経営責任者の、マクスウェルは、首です。これが当社の誠意です」

「後任は誰なんだよ、禿げ頭なんか、隠しても無駄だよ。クビ飛ばすなら株上げろ」

大株主の席、前列の特等席から罵声が飛ぶ。

「もう株はおしまいです。国有化されますんで、政府が10ペソで買い取ってくれます」

「ナメとんか」

「10000ペソで買い取れ」

観客席が、大騒ぎになった。

「黙れ!黙れ!黙れ!」

カツラは叫んだ。

「収拾のつかないことをするのは止めろ。リーマンフラフープの株を乱高下させるのをやめろ」

「あのオッサン、株主に注文つけてるよ」

「株はもうお終いなんじゃなかったのか」

リーマンAは、群衆の中から、決定的な暴動などが起きないように、株主の群れに紛れ込んでいた。他のヒラ社員や、オフィスの警備員らと共に。

カツラは社会人にしては、言動が可笑しかったが、群衆を操るのが上手かった。

一体全体こいつは次に何を言い出すのかと、人々に息をのませるのが。

「俺はもう株はやらない。4回破たんした。ワシントンと仲良くしろ。

ツイターを使い、他社の株を乱高下させて、利益をかすめ取れ。

そんなのは、インサイダー取引には当たらない」

その手口、株ニートとかが、よくやってるじゃん、ほとんど自爆してるけど。

リーマンAは、カツラは初見だ。国有化となると、どんな怪物が出てきても不思議はない。だけどアイツは、言うことが変過ぎる。

マクスウェルが、象さんのスピーカーを奪い取った。

金融工学のプログラムを作るのは、人よりAIの方が上手いし、株取引で、入った情報に即応するのもコンピューターの方が早い。人はお払い箱です」

「人間は、買うか、売るか、自分の虎の子から、いくら出すか、それだけを決めろ」

「もしくは、リスクを取り除き、取り扱いやすい機能的な金融商品を作るかです。

今回は、サブプライムローンという商材が終わったんです。金融の終わりではないのは注意してください。

金融は、お金の余っている人と足りない人を結びつけるビジネスです。誰も不幸にしない金融は、きっとあります」

「色は混ぜればいいってもんじゃない。2色くらいでビシっと決めた方が良いこともある」

カツラとマクスウェルは、象さんのスピーカーを奪い合った。

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