ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

イケメン・ツァーリ8


「カーチャさんは、彼氏とかいないのか。

ヒラリーさんみたいな怖い女の人の元にいると、男が逃げていくよ。

よかったら俺んところのイケメン警官を紹介するよ。

正義感あふれるNPOの女性に、汚れ仕事の出来る警官たち、鬼に金棒ってやつだ」

アレックスはヒラリーのNPO事務所にやってきて、一通りカーチャにちょっかいをかけたあと、優しい牛の録音テープの顛末をヒラリーに話した。

ライウクナ・マフィアには、大したペナルティが課されなかった。

例の市議の親族のヒラ警官を殺した奴をつきださせて、事は収束した。そいつは身代わりかもしれない、本当の殺し屋は腕が良いから、温存したままかもしれない。

確かに、ライウクナ・マフィア経由で、ライウクナに武器が流れているが、それはある程度、ルシーアを牽制する為のアメリカの国益にかなっていた。

そういう裏事情を表ざたにするのは都合が悪いし、地元の警察にはどうしようもできないことだ。

しかしこういう情報を警察に提供しているから、ヒラリーのNPO事務所はトラフィッキング摘発の活動が滞りなくできた。

「あんたは気を悪くしているだろう。

あいかわらずチンピラの奴らは、気の毒な売春婦から稼ぎを巻き上げて、不法行為に流している」

「気を悪くするのは、当たり前よ。本当に腐った世の中、アメリカとは思えない。

でも、私たちは、銃を持ってマフィアの巣窟に、突撃することはできないのよ。そういうところは、アレックスさんに、感謝しないといけない」

「ヒラリーさんのところは、きちんとした政治活動をしているし、副業で稼いでいるスタッフもいるだろう。

それに気の毒な女性たちを救うモデルは、集金力が高い。何しろ地球人口の半分は、女性だから」

「でも恵まれた女性は、そういうことに理解を示さないわよ。

売春婦に身を落とすのは本人が悪いと思っているし、アメリカに外国人が流入するのも快く思ってないし」

「アンタは警察がクソマッチョの巣窟だと思ってるんだろう。

でも、例えば、うちの婦人警官連中だって、ああいうのは嫌いなんだ。

もちろん彼女たちは、あんたのいうように、売春婦に身を落とすような女を軽蔑している。彼女たちはエリードだよ。

警察に採用されるほどの資質もなく、そうならざるを得ない女性がいる状況までは理解していないよ。

でも、行き場の無い女性をつかまえてきて売り飛ばす、トラフィッキングは許せないと言うよ」

カーチャは、来客にコーヒーを出したついでに椅子を持ってきて、彼らのそばに座って話を聞いていた。

カーチャはアレックスが気になっていた。でも彼は既婚者だろう。

かつて彼女に立ちんぼをさせていたマフィアが悪魔で、警察は正義の味方。カーチャは別にそんなことを思ってるわけじゃない。

警察なんか、彼らなりの何か用事があって、たまに悪魔の元にガサ入れに来る程度だった。カーチャを助けたのはヒラリーだ。

だけどそういう庶民の願望が、イケメン・ツァーリの台頭を許した。世界中の人々が、救世主を待望していた。

マフィアと警察、もしくは、KGB。彼らは相互利益の元に結託しているのかもしれないし、本当に対立しているのかもしれない。真相は藪の中だ。

自分にあの警棒と拳銃と体があったら、自分を凌辱した、マフィアをぶちのめすだろうか。

カーチャはモララーほど大胆に彼に話しかけることができない。何しろ、ただのヒラのスタッフなんだし。

 

 

 

各自、自分の敷地でトラクターを一通り回したあと、ジェイとトニーは、あぜ道で座り込んで休憩をした。自宅から持ってきた水筒のゲータレードを飲んだ。

「ンプトラの話を聞くために、中心街くんだりまで、行ってきたのか?

お前は、本当にボンクラだな。

あんなもの聞いて、何が面白い。

オッサンがフガフガ言ってるだけじゃないか。

だったら、近所で草野球でもやってたほうが、体に良いぜ」

「お前の出た腹は、あんまり体に良さそうじゃないけどな。

それに、ンプトラは、今までの奴と、違うんだよ。

奴のスピーチはすごい。狂ってる。

ユーチューブでやってるから見てみろ」

夕食後、トニーが、テレビを見ながら、ソファでゴロゴロする時間、

トニーは、妻と2人の子供の前で、ジェイの言ったユーチューブのページを開いた。

「俺ならイケメンツアーリをファックできる。

あのババアじゃ、無理だ。他の男でも、無理だ。だけど、俺にはできる。

俺にしかできない。いいか、俺ならできる。ツアーリをファックしろ」

 

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