ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

AIIB丝绸之路=印度=铁路(インド=シルクロード鉄道)1


AIIB(アジアインフラ投資銀行)の資金で、合弁会社が敷いたこのインド=シルクロード鉄道は、この辺に通っているインドの鉄道と比べると、桁違いに早かった。

ただ、よく牛や人が路線へ飛び出して、その速度も止められることが多々あった。この区間の、事故率は最高だった。

しかし、技術は最高で、ヨーロッパの鉄道と遜色がなく、車体の揺れなども少なく、ずっと乗り込んでいると眠くなった。

ヒースの仕事は、車内に犯罪行為が起きていないか、見て回るだけ、正直、アタリだ。人に紹介したくない。

採用基準が厳しいインターポールをクビになり(そこを一度でも受かったことが、彼女の自慢だった)、

インターポール株式会社という、胡散臭い会社に再雇用された。

インド=シルクロード鉄道に、車内風紀の徹底という、よくわからない名目で雇われて、基本的な仕事は、こうやって歩いてみて回るだけ。

スリや痴漢は沢山いた。1人では対応しきれないほど。

注意しただけで、ビビって逃げていく人なども多い。

 

 

 

 

「痴漢1人、捕まえましたんで」
「あー、ハイハイ」
サルマは自分を呼んだ女性警備員に近づいて行きながら、、鉄道員の帽子を脱いで、天パの頭をボリボリとかいた。
こいつらのせいで仕事が増えた。

捕まえたら捕まえたで、勝手に持っていてほしい。
俺達は、痴漢なんかいらない。

インドに凶悪犯罪や不正は多い。
インドの警察に、そんなものを扱っているヒマがなかった。

痴漢ごときを警察署に持っていったって、サルマたちが叱られるだけだった。

「風紀、気を付けて下さいね」
「俺らのせいじゃねーべや。客が勝手にやったんだ。クソピー」

ヒースは、ピーは言われ慣れていた。
100年くらい前、自分たちの祖先がこの土地を植民地化したのは事実だ。
それにピーは、植民地化してない土地の人にも言われた。
その辺の道端の、飲んだくれの男などに。

とくに警察関係の仕事をすれば、犯罪者スレスレの悪タレに、そう言われない日はない。

ヨーロッパにも、女性警察官を見ると、反射的に、ピーと言う人は多い。

ヨーロッパの警察官は合理的で、ピーと言われたくらいでは、いちいち目くじらを立てない

だからチンピラは調子にのった。

 

 

 

 

「どんな女、触ったの」
「白人ッスね。観光客って感じの」
「そりゃあ、ヤバイ
痴漢は肩をすくめた。サルマはゆるく手を引くだけだが、彼は暴れない。

彼らは、相手の身分が高かったり、自分の身柄を左右しそうな相手と見ると、腰を低くすることを忘れなかった。


インドの上限関係は複雑だった。まず見た目で分かるような社会的地位。

それから、カースト制度の名残があって、特に男女交際や結婚するときに差別が浮上することは珍しくない。

サルマは、痴漢を警察に引き渡す仕事を、すれ違った部下に押し付けた。

それで空いた時間で、休憩室でタバコを吸った。

「すみません、サルマさん、これ、お願いします」

休憩室のドアがあくと、アーメドが顔を出した。

彼はサリマに、クリップボードにはさんだ紙を差し出した。

「また、署名とかやってるの。上層部が聞いてくれると思うか?」

「黙ってたら、何も通らないのがこの国じゃないですか」

「何がこの国だ。クソ坊主。

そうだ、お前の聞きたそうな話をしてやろう。イイ話だ」

「何ですか」

目の前の端正な顔に、怯えが走る。この理想主義者は、こういう話に弱かった。サルマはニヤニヤしながら言った。

「俺よりお前の方が、顧客満足度が高いそうだ。

ここはラクな職場だったんだが、顧客満足度。いつのまにかそんな高級なものを取るようになっちまった。

だからお前はそんな署名なんか、する必要はないってことだよ」

「そういうリストラだって会社に一方的にやられたら困るじゃないですか。俺たちは、真面目に働いてきたんだし」

「そう、俺は真面目に働いている」

「いや、サルマさんは態度が悪すぎると思いますけど。ココ、タバコも禁止だし」

休憩室は、禁煙の張り紙の割に、壁がヤニだらけだった

アーメドは、サルマに署名を貰うことを諦めて出て行った。