ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

AIIB丝绸之路=印度=铁路5

 

サストリは、休日に帰省した。広いインド亜大陸に広がる、便利な鉄道網が、地方からデリーへ、日帰りを可能にした。

「仕事を止める?勿体ないじゃないか。良い会社だし、ナジムくんだっているじゃないか」

2人は来客用の居間のテーブルへ、向かい合って座った。サストリの父は、ソファから立ち上がり、暖炉の方へ歩いて行った。

「この虎の置物は、新顔だろう。ファンさんにもらったものだよ。

見たときは、うちにはあわないと思ったけど、意外と、キッチュな感じで悪くないね」

「鉄道員の仕事は、忙し過ぎるんです。僕には合わない」

サストリの父は、虎の置物のそばから戻ってきて、ソファに座った。

「例えば、この屋敷の周辺の農地は、手入れがされてないですよね。

真面目に耕作すれば、灌漑設備とかも、近代化して、

農夫にもきちんと報酬を払って、そうすれば、この辺一体は豊かになるし、

この屋敷にも、小銭が入ります」

「お前には言ってなかったか」

サストリの父は、グラスにウイスキーを継ぎ足した。

「おかしな奴らが、小作人が逃げた土地に、入植してきた。

うちも警備員を雇って追い払っていたんだが、一度、3人ほどやられた。

サラクナイト関連らしいよ。警察の言うところではね」

「それで、放ってあるんですか」

「放っておけば、向こうも何もしないから、どうしようもない。

追い出そうとすれば、反撃が激しくなるし、

彼らには、拠点がたくさんある、その辺の山奥とか。

仮にここに居座った奴らを、全員射殺しても、事態が悪化するだけだ」

「警察は何もしてくれないんですか」

「警察は、落ち目の地方領主なんて興味を持たないよ。

インド政府は、公式には、カースト制度を否定してるし。

私たちは、あまり、賄賂とか、そういうことには気を配ってこなかった。

インドには、政府とつるんで悪さをしている貴族もいるよ。

でも、私は静かに暮らしたいし、お前たちにも、普通の市民になってもらいたい」

 

 

 

 


「この監視カメラのテープは、全部、破棄して大丈夫ですよ。俺が、犯人しってますから」

休憩室への闖入者。ナジームは社内の画像を再生していたパソコンから目を上げて、アディソンを見た。

「これは、あの紳士のポケットから、盗まれたメモリです。

コレはインターポールの末端職員が、持ち出したものなんです。

インターポールは、正式な方です。俺たちみたいなパチモンの警備会社じゃない。

彼はイギリス在住の、カシミールの出身者で、カシミールからインド軍を追い出す為に、中国の介入を求めている。

それをイギリス紳士崩れの元インド人留学生が受け取って、人民解放軍の幹部に、届けようとした」

ナジームは、目をしばたいた。またもや、面倒ごとに巻き込まれる臭い。彼には、馴染みの無い話だった。

最近、テロリスト扱いされたり、ロクなことがない。

僕はそろそろ、サルマさんみたにならないといけないのでなはいだろうか。

誰にも目をつけられないように手を抜いて、面倒事を避けて通る。

しかし、彼の口先は心を裏切って、違うことを言ってしまう。


「僕は、誰かの物を盗むような人を信用できない」

「あなたは組合活動に、熱心な、アカで、得体のしれないバングラディシュ人だ。反インドを掲げる、テロ組織に入っているかもしれない」

「僕は、両親がバングラディシュからデリーへ出稼ぎに来たけど、カシミール出身じゃないよ。

メモリが欲しかったら、あのお客さんに、直接交渉してください」

「そんなこと、しないよ。メモリは現に、俺の手にあるんだし。クレームはそっちで適当に処理してもらうってことだよ」

ナジームが力ずくでメモリを取り戻そうとアディソンに近寄ると、彼は飛びあがって、机の向こう側へ回った。

彼らは間を詰めたり空けたりしながら、机の周りをグルグル回った。

「奴は30年ほど前、イギリスをウロウロしてたんだよ。けっこうな金持ちだった。

それで法学なんかをやっていたんだけど、同僚のイギリス人女性にフラれた挙句に、強姦未遂を起こして、送り返されてきたんだ。

それで、イギリスの口利きで、汚いオフィスを与えられて、探偵もどきのチンケな仕事に駆り出されてる。

元犯罪者っていうのはだいたい違法な仕事をやらされるんだ。マズくなったら、いつでもクビキリできるように。

あんなクレーマーは、適当に追い払ってもう二度と利用してもらわなくていいじゃないか。

不法行為を働く奴は客じゃない。インドには、10億人の人がいる。客は選ぶべきだ」

客のポケットからメモリを盗んだアディソンは、少し矛盾したことを言った。

「でも、デリーの警視正については、あなたがどうにかしてくれるんですか。

あのお客さんは、お偉方にチクルとか言って騒いでますよ」

「インターポールとデリーの警視正、どっちが偉いと思う?ついでに、中国の鉄道会社とデリーの警視正だ。テレビに出して、対決させてみたいよ。クイズ、ミリオネア、って感じで」

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