ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

AIIB丝绸之路=印度=铁路6


サルマは、いつものようにダラダラと、構内を見回っていた。

遺失物の回収、酔客の追っ払い、トラブルがないか、見回り。

「オイ、ナジームってやつはいるか」

サルマは、スーツ姿の中年男性に肩を掴まれた。

「ナジームがどうかしましたか。用事があるなら、呼んできますが」

サルマは、肩を掴まれたまま、絡んできた客をジロジロ見た。

微妙だな。服は、高そうだし、インドで態度のデカイ奴は、だいたい地位も高い。

もちろん、見てくれが、全くのエセなことも、あるけれど。デリーでは、石を投げれば詐欺師に当たる。

「あいつはテロリストだよ。

私の大切なデータを盗んだ。インド当局に、チクってやる。お前らは、タダでは済まない」

「そういう大切なお話でしたら、本部の者へ、お通しします」

 

 


そのとき、サルマと客の前で、休憩室のドアがあいて、2人の男が飛びだした。2人とも、似たような制服姿だ。

「サルマさん、その人捕まえて下さい。インド=シルクロード鉄道のテロ情報を持ってます」

見覚えのある白人の警備員が叫んだ。もう1人は、ナジームだ。

サルマは、ナジームの後を追いかけた。

ナジームが、長い脚で飛んで、改札ゲートを越え、けたたましいブザーが鳴り響いた。

サルマは緊急事態のボタンを押して、改札ゲートを通り抜けた。

人の流れが一瞬止まり、駅構内に、ざわめきが広がる。

 

 

 

ナジームは、ホームの階段を駆け上がり、乗車のメロディが鳴り響く中、列車へ乗り込んだ。

サルマの前でドアが閉まり、サルマは窓へ取りついた。

インド人がよくやる無賃乗車だが、インド=シルクロード鉄道で、これをやる人はほとんどいない。罰則で、10倍の料金を取られるからだ。

サルマが器用に身を起こして、窓から車内へ入り込むと、座っていた老婦人が驚いてコップの紅茶を取り落した。

人が動けるスペースのある富裕層向け車両は、4車両しかない。

サルマが右側へ走ると、ナジームが行き場を失って立ち尽くしていた。

この先は、庶民向け車両で、足の踏み場がない。

「ナジーム、お前、何、やってるんだよ。テロリストなんだろ。

俺はお前をナメてたよ。

可愛い顔をした、坊ちゃんだと思ってた。

俺は、巻き添えはゴメンだ」

ナジームが長い脚でケリを入れてきた。

サルマはその脚を掴むと、ナジームを転ばせて床に組み伏せた。

「サルマさん、そのメモリには、カシミール紛争に人民解放軍を介入させる、みたいなことが入ってる、らしいんです。

中国人に渡る予定だったのが、イギリスが回収しようとしている。

俺はそれを、メディアに流そうと思うんだ。

僕はこのメモリを中国人に取られても、イギリスに回収されても納得がいかないよ。

ココは僕たちの国だよ。僕はアカじゃないし、どちらかというとナショナリストだよ」

「何、難しいこと言ってるんだよ。腐った弁当でも食ったか?」

「そのメモリは金になるよ。人に渡しちゃいけない。サルマさんは、それを持って逃げて下さい」

ナジームはサルマが動いてくれそうなことをひねり出して言った。

サルマはメモリを受け取ると、庶民向け車両のドアを開けた。

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