ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

AIIB丝绸之路=印度=铁路10

 

休日のナジームは、会社を辞めたサストリの屋敷にいた。

ナジームは、暖炉のそばの、虎の置物をなでた。

「ファンさん、趣味悪いね」

「そう?父さんは気に入ってる」

「こっちのパンダの置物は、何なの」

「それは、餞別」

「外で働いている人たちは、本当に元サラクナイトなの」

「真面目に仕事をしてくれるなら、誰でも良いよ。

どうせ農夫は、なかなか、集まらない。インドでは、小作人を搾取する風習が蔓延ってるから、イメージが良くないし、近代化も進まないから。

インド当局は、飢饉対策で、農作物の値段を、不当に安く押しとどめてる。でも、農民だって生活していく権利があるし」

「サンジャイが、テロリスト扱いされるんじゃないの。僕みたいに。僕なんか、バングラディッシュから来たってだけで、テロリスト扱いだよ」

「彼らは、ここの警察の保護下に入ったんだよ。サラクナイト本体とは手を切った。

彼らだって生活していければ、テロなんかやらないんだし」

インド=シルクロード鉄道の現場では、多くの工夫が功を奏して、ナジームたちの仕事は少し楽になった。

ナジームが労働環境の改善要求をするほどのオーバーワークは減った。

ナジームの先輩のサルマも、あんまりサボらなくなったし。

 

 

 


カシミール絡みのテロ予告の件ですが、犯人の特定がはかどらなくて、ゴニョゴニョ」

シルクロード鉄道本社の董事長が出張してきたので、呼び出されたメンバーは直立不動の姿勢で立っていた。

テロリスト容疑のかかった従業員から、

カシミールでの人民解放軍の出方のシュミレーションなど、軍事機密が詰まったメモリスティックの件に関わりあった人間まで、一通りの問題児が揃っていた。

人事部長は申し開きをした。

「彼がバングラディシュ出身のナジームです。彼が組合活動とか熱心だったので、怪しいと思ったんですけど、どうもシロみたいで」

「ナジームさん、不愉快な思いをさせてしまって、申し訳ありません。アレは、私が書いたんですよ」

「え、董事長が?」

一同は、耳を疑った。

「一種の避難訓練っていうんですか?」

「ハア!?」

沈黙を破ったのはサルマだ。

バナナマンたちは、アホなんじゃないですか」

董事長は不思議そうな顔をした。

バナナマンって何ですか」

「アジア人の皮を被った白人っていう意味ですよ」

「それって褒めてるんですか、貶してるんですか」


「よく分かりませんが……。

インドでも美白とかすごく流行ってるし」

人事部長は必至にフォローしつつ、オロオロした。こんな奴、早くクビにしておけばよかった。

少しくらい、ふてぶてしくて、気が合うからと言って、野放しにしておかなければよかった。

董事長をアホ呼ばわりするほど、マヌケ野郎だったとは。

「デリー駅の対応は、無視もせず、過剰反応もせず、対応は理想的だったと思います。

インターポールの機密の件も、報告してくれて助かっています。

あの件については、上の方で話を付けるので、私たちには関係のないことなのですが」

董事長は一通り話をすると、本社へ帰って行った。とりあえず、誰もクビにならなかった。

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