すみま千円(漱石のほう)

レポート置き場かな?宜しくお願いします。

イチキュウハチヨン5


サッチーは生きる意味を探していた。

たしかに私はグットルッキングかもしれない。だけど、だから?

「自分探しは犯罪です」などのポスターが、方々に張り出されていた。

美しい女性、モンペ姿の女性、制服姿の女性。

サッチーは、いつも一分たがわず電車が滑り込んでくる地下鉄の線路を見つめた。

錆びた鉄路、汚れた壁。

もっといい方法はないんだろうか。

生れた子供にすぐロボトミー手術をするか、日本人を全員ロボットに置き換えるか、日本列島に野生生物を放ち、ソレを日本人としてカウントしてお茶を濁したらいけないんだろうか。

 

そうすれば適当に繁殖し、大した金もかからないし、周辺国の脅威にもならないし、上級国民が猟銃1つで安穏と食物連鎖の頂点に立つことが出来るのに。

 

電車は10分遅れていた。あーあ、この車掌、更迭だな。私も遅延証明書貰わないと。

サッチーは、どさくさまぎれに、隣のオッサンに話しかけた。

「この変な厳戒令下で、生きる意味を教えて下さい」
「はあ、あんた、頭のおかしな人?」
「知らないならいいです、お忙しいところをお邪魔しました」
「何で俺が、そんなこと知ってると思ったの」
「知ってるんですか」

ココだってきっと監視カメラが入ってる。

2人は下を向いていたから、互いに相手の顔なんか見えなかった。
「知るかよ。この地下鉄にいる、全員に聞いてみろよ」
「聞くとどうなりますか。誰が知ってそうですか」

「男にだって生きる意味がないのに、女に生きる意味があると思うか?」

会話はプラットフォームに入ってくる電車の轟音にかき消され、サッチーが治安維持法で逮捕されることは免れた。

 

 

「お前みたいのが、人民を搾取するから日本は荒れた。犯罪者め」
「お前の方が、搾取してるんじゃないのか、お前、評判悪いよ」

「お前のその、偉そうにする根拠は何だ?金か?DNAか?」
「俺は別に偉そうにはしていないつもりだが」
「日本とは、精神だ」

「その精神とやらを、見せてもらいたいもんだ。どうかな、ちょっと見せてもらえないかな。
俺も1つ、お前の言うところの、金まみれの精神を浄化してもらいたい」
「お前には見せられない。心の汚い者には見えない」

切腹するのか」
「しない。それからカミカゼ・アタックもしない」

アシスタントの女性が唐突にアドリブを入れるとは、誰も想定していなかった。

「私たちは商品じゃありません」

全国の公共電波がブチッと切れた。

24時間テレビは油断していた。

モノ言わぬ障碍者が、正常人の裏を書いてくるとは思っていなかった。

この障碍者コンビ、アヤと真帆の行方は不明だ。放送は無かったことになった。

 

 


公共広告「こんな私でも一生懸命生きています」

テレビ画面に映る青年は、目が片方潰れていて、片足がない。

アヤは生意気だとして施設のスタッフにレイプされて出産したが、

その子供を3回とも虐待死させたので、慢性的にこの施設に入っていた。

アヤはウソが付けない体質だった。

投薬のされ過ぎで、死んだ。

が、死ぬ前に施設の数人を発狂させることに成功し、スタッフに麻原案件などと呼ばれていた。