すみま千円(漱石のほう)

レポート置き場かな?宜しくお願いします。

低能ビジネス3


「ウチは何で大卒で取るんですか」

「教育するの面倒臭いからじゃない」

「中卒の方が根性あってよくない?自分がバカだって自覚あるし」

「だけど中卒イジメとか横行しないですか」

「バラされたらヤバイでしょ。部落差別と同じで」

「ウチで中卒取る代わりに、子供の教育、中卒で終わりにしたくない。だって総数同じなんだから、どうせ就ける職は同じじゃん。冷静に考えて」

「丁稚奉公に出すみたいだよ」


昔は中卒で働くのは珍しくなかった。
いつからだろう。新卒者に求められる学歴はインフレしていった。
貧しいから中卒なのは仕方がない、
でも、いつからか、金がないのに中卒なのは、努力がたりないか、致し方がない無能かのどちらかだって。
「大学行っても、ブラック・バイトとか奨学金の返済地獄とか、ロクなのないだろ。どっちも泥水なら、少しは清水にしたいと思わないか」

「この職場は泥水かよ」

「こんなところで働いている労働者の子供は、大したことない。トンビからタカは生まれない」

「金が足りないんだよ。勤労奨学金とかあってよくないか。もし出すんだったら」
「何ソレ、どういうシステムなんですか」

「すぐにやめたり、客とトラブル起こさない人だよ。最低限の体力とかがあって、職場に、ありがたいのが欲しい」

「ソレ、誰が出すの」

「政府か個人だろ。質のいい労働者を増やそうみたいな理念の」

「質もクソも、企業がブラックだから、どうにもならんよ。この手間仕事するなら、もうロボットの方が上手いですよ」

そうか。自分たちの、やってる仕事がクソで、かつそのうちロボットで代替されてお払い箱の可能性があるていう、二重に自虐か。

だけど俺たちはもうじき50代になる、未来もクソもない、大した未練なんかない。


「ブラック・バイトで使い倒されても大学くらい出ておけか。

頭を使ってる人は、体を使ってる人に支えられて生きているんだし、逆もそうです」

未来もクソもない50代でも、子供のことは気になった。

バカな俺のバカな子供。ソレが自己責任か?

中卒でコケにされることとか、Fランに進んで、借金漬けになることが?

「俺たちはだいたい、リスペクトされておらんのよ。そういうのは左翼なんて言われちゃってね」

「エッお前は左翼なの」

「左翼って何?」

「エッ右翼じゃないことじゃない」

あっそう。ヤマダたちは棚卸しの作業に戻った。

だから、コレだってアームとかで出来る仕事だよ、先進国なら。

そんなことないだろ、以外と細かいよ。

 


少年少女はスマホに夢中だった。友達とのコミュンケーションや縄張り争い。

ウェブへのハレンチ写真の晒しや、粋がった行動で炎上すること。

「仲良しグループが、最近遊んでくれないよ」

「アイツ、スルーだから。ノリ悪くて、つまらないし、ハブろう」

「リベンジ・ポルノされた。死にたい。どうやって消したらいいか、分かんない。誰か教えて」

「ソイツ殺せば。裁判所に訴えるとか」

「恥かくし、大事になるじゃん。ただ消したいだけなの。何か、無いの」

「警察や弁護士に相談するとか、専門の人を探そう。ソイツのこと、個別に脅すしかないよ」

「彼らが、リベンジ・ポルノごときに構ってくれると思う。報酬で1億ペソとか請求してくるよ。彼らは、この手の被害者を、どうせ股の緩い女だと思ってるんだよ」

温室の花々に、杓子定規の学校が逆立ちしても構わない、ショービジネスの魔の手が迫った。

 

 


「山田さん、PTA役員されたことないでしょう」

山田妻は溜息をついた。だから何よ。また雑用の押しつけですか。

いい御身分で。

山田妻は、この本音を、発声するわけにはいかない。

子供まで村八分にあい、A市の小学校で、小学生が屋上から飛び降りましたのニュースに載るかもしれない。

この辺に、感じのいい人はあまりいなかった。そもそも、感じのいい人なんか、いるかどうか不明だ。

旦那は仕事で疲れているし、

仮に根がいい人だったとして、PTA役員みたいな嫌な仕事を押し付け合うときには、嫌な側面が全開だ。

だが、来なければ来ないで、勝手に名前を使われて、役員になっていた可能性は否定できない。

何で私に回ってきたんだろう。

井戸端で談合でもしたの。

山田妻は、パートで働いていて、人付き合いが無いし、仕方がない。

「仕事があるんですけど、専業の方がされてはいかがですか。私では、行事に穴が開くし、お力になれません」

山田妻は精一杯、下手に出て回避しようと試みた。主婦連が、ザワついた。専業の方というフレーズが、琴線に触れたのか。

ソレは卑語なのか、資産家を持ち上げてるのか、不明だ。