ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

ロックバンド・インパール9


「俺はPにブツを渡してた。

アッパー系のやつだよ。

何か、徹夜続きの時なんかに、使うんだよ」

「何でPが俺をハメる?まあ、鮫島辺りに、聞けば分かるのかもしれないけど」

「だって、あのいけ好かないNHKをはめたのは俺って、自慢してたから」

「でも、Pはお前の客なんだろ」

「だってPは、もう俺から買わないんだってさ。バイバイ。だからちょっと、仕返し」

 

 

 

 

中野は、数年前に入力したままそれっきりになっている番号を呼び出した。

その番号の持ち主も、また彼の軽蔑する、パパラッチなるもの。

中野は雑誌記者風情に接触したことはない。

数年前の受信料未払い騒ぎのときに、

局内の派閥抗争について聞かせて欲しいとか言って、一方的に追いかけられたことがあるが、

興味がないし、そもそも箝口令が敷かれていたのでほとんど接触しなかった。

 

 

 

 

 

「霊だよ」

Pは鼻糞をほじりながらいった。

Pは部下に甘えるタイプだ。

本当にお前は俺の女房だから、みたいなことを言い出しそうで、勘弁して欲しい。

「霊が出るっていう村にいくんだよ」

石田は憮然とした。

こいつはいつも、美味しい仕事である。

その仕事が美味しかったためしが無い。

Pは番組企画のセンスはあるが、どうでもいい仕事を部下に押し付けるクセがあった。

「何ですか、そのセンス、30年前だよ。逆に貴重?

どこが起死回生なんですか」

「起死回生とは言って無いよ」
「起死回生とか言わないで下さいよ。まるで俺が死にかけてるみたいじゃないですか」

Pはほじっていた鼻くそをピンと飛ばした。

ここでは話がズレても誰も咎めない。

話が噛みあったり噛み合わなかったりすることに、既に石田たちは重きを置いていなかった。

こうなって数十年、というか、入社したときからそうだ。

無意味なことに全力投球する為のテンションをキープすること、それが大事だった。

それに、無駄なことに神経をすり減らすのはアホみたいだし。

世の中、神経のすり減ることは無数にある。

インターネットが普及してテレビ局の屋台骨傾き始めると、そういう傾向に拍車がかかった。


「でも、何かあることは間違いないんだよ。D通の人がその村行ってるとか。

その一帯は、田舎フェチのNHKが寄り付かない魔窟だとか」

「D通は潰れたんじゃないですか」

「まだ噂じゃん」

「そういう噂はどこから拾ってくるんですか。Pさんの願望じゃないんですか」

「心霊番組は、最近の子は知らないから、ウケるんだって。

僕も誰のフカシか知らないんだけど。

そういえば俺の子供も妖怪ヲッチとか集めてたよ。流行が終わったから、もう捨てちゃったけど。儚いもんだよね。


まあ、とりあえず、他に当面頼めそうな人いないし、断ると、お前も仕事なくなるから、よろしくね」

 

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