ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

ロックバンド・インパール14


彼らは、授業中に騒いで廊下に出された小学生みたいにブラブラしていた。

平田ウノは、ヒラヒラのワンピースについたワラや泥や草をつまんで捨てていた。すぐにまた汚れるから、キリがないんだけど。

三村は落ち目のアイドルをバカにしていたが、こうなってみると同情心が湧かずにはいられない。

同情されているのは、俺たちか。

彼女たちは、どの会社がつぶれるか、つぶれないかなんてことは、知らないだろうし、

僕はただ偉いおじさんですっていう顔をしていればいいんだろうけど。

他にどうしろと言うのか。

小沼は一方、アイドルを興味深いと言っていた。

しかし小沼は、昔ほど彼女たちに、愛想をふりまかれないことに気が付いた。

失業のショックで忘れていた。

俺たちは左遷されたんだから、最早、尻尾を振っても無駄なオジサンにソートアウトされていても不思議じゃない。

 

 


民間の自由な発想と柔軟性をって何だよ。

都合が悪くなると全部下請けに押し付ける、大企業病が、霞が関にも波及した。

日本1の広告代理店、D通。彼らは、かつてのように消費者の欲望を引きださんとして策略を練るのではなく、未来の労働者にアピールしなくてはいけなかった。


「単純作業をこなす人間の能力には限界がある。

問題はホワイトカラーなんだ。
業績を上げられない奴はクビだ。

日本のブラック企業は、すぐに現場や下請けにしわ寄せをする。

お前ら奴隷が24時間働かないからいけないんだとかホザきやがって。

そいつは一日に6時間くらいしか働けないヤワな負け犬だからこそ、底辺に吹き寄せられたに決まってるんだ。

ユンケルごときで24時間働けるなら、自分で起業するか大企業で働いてるしな」

「そうそう、技術者と経営者を、労働者自身が雇う。

つまり、つまり?」

焚火の向こうに、不吉な赤い旗と、ハンマーと鎌がひらめく。

地元の酒を貰って、彼らは変な酔い方をしてしまった。

どういう酒なんだ、これ。酒種とかなんなの。


「ここはでもロジスティック上、不利なんじゃないですか。

見た感じ、特に土壌がいいわけでも、開墾地が開けているわけでもないし、

補助金なしに存続できる土地じゃないと思うんですが」

「お前、土とか分かるのか。小学校でチューリップを育てて以来、土なんかいじったことありませんっていう顔してるよ」

「農業関係者に、聞いた話ですよ。土質が良いかどうかは、投資するかどうかの重要な基準でしょ」

「で、小沼に言わせると、土質のよくない、ここは何で投資されたの」

「そんなことに深い意味があると思うかよ。どうせどこかの地方議員にゴリオシされたとか、そういう理由だよ」

「俺たちの左遷のおかげで、誰かの懐に金が入ると思うと、腹が立ちませんか」

「そいつのクビなんか切ってしまえばいいよ。世の中は下剋上なんだよ。俺は社長の最後の演説を忘れない」

「あれは笑えましたね。霞が関のお偉いさんが、あぜ道でへたり込んでるとかさ」

 

 


心霊番組って何だよ。

こうなったら、ADを殴ってエクストラプラズムとか出すか。

たまには俺が殴ってもらうか。

自分の方がスゴイ、エクストラプラズムを出す自信がある。あのカメラの角とか効きそうだ。

大石は収録したVTRのショボさに意気消沈していた。

落ち目のアイドルのモンペ姿とか、

地方議員とD通職員が連れだって歩いている姿とか、一応映像はあるのだが、そういう用途じゃない。

それは心霊番組とは逆の何かに感じられる。

「テレビ業界の亡霊たち、親方日の丸体質と決別できない、エリートたちの彷徨う地の果てを追跡取材」

「ペンペン草も生えない過疎地に巣食う利権集団を見つけたよ、原発の次はコレだべ」

補助金まみれの農協貴族、都会の失業者を脅して人身売買か」

「若い娘ッ子が何しろ一番金になるッペ」

Pは本当にやりかねない。

あいつは危ない。何かクスリをやっていると思う。

このVTRは消しておこうか、Pが何かやらかして、俺にまで火の粉が飛んできたらたまらないし。

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