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ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

ロックバンド・インパール15


本来、地域愛の強い、弱い、に、善悪の差はない。

しかし人々は、善悪の差をつけたがる。カラーギャングみたいに。

AはBに言う。土地への執着以外に、何も持っていないサル。ヨソでは通用しない負け犬の吹き溜まり。

BはAに言う。地域愛の無い欠陥人間。ゴミの日を守らない野蛮な現代人。

「何でも言って下さい。本当に何でも」

堤たちは遠慮していた。何しろここは、僻地だから、

何か気にくわないことを言って山に埋められたりしても、誰にも気が付かれないまま骨になってしまうのではないか。

あまり近寄らないようにしているけど、地元の人の、あの態度のデカさも尋常じゃなかった。

「場合によってはボーナスもあげちゃう」

「何で君らにそういうことを聞くかっていうと」

「僕たちは大きな会社で、毎日16時間くらい働いていたから、

それで平気だったから、

こういう、日当のアルバイトに参加する、ヘタレ、おっとすみません。

人たちの事情はよく、わかりませーん」

「それでみなさん、教えを乞おうと思ってるんです」

そのD通社員は、本当に千円札を取り出して、堤たちの手に押し付けた。

「とりあえず、作業がラクなら人が集まると思いますが」


「今技術が発達してるから、そういうのはアリだよね。

気象衛星とか、先物取引とか。

そういうので豊作凶作を予測して、価格変動に備えたり、そういうの、あるよね。

せっかく夏の間に育ててきた作物が無駄になるとか、そういう徒労は減るよね。

それにどこかで豊作だったら、逆に、こっちは作らなくていいしね。値崩れして共倒れするし」


「でも最近の消費者はうるさいから、有機栽培とかじゃないと、売れないじゃないですか」


「都会の飽食した人種も、そろそろ、作る方の苦労とか考えるべきだと、俺は思います。

遺伝子組み換え食物が嫌なら、自分で作ればい。そう思わない?」

小沼は付近に農協職員がいないかどうか目くばせした。しかし三村の暴言は始めると止まらなかった。素人は怖い。

「アメリカのカーギル社の恐怖とか煽ってる奴が怪しい。日本だってそんな技術、難しくないんだから。日本の大学に農学部が、いくつあると思ってるんだ」

食糧管理法とかいうのがあって、物価を安く抑える為に、消費者が優遇されてるのを知ってるか。

俺も、詳しくは知らないんだけど。

農民は、本当はね。

農作物を、作ったり作らなかったりして、儲けることはできるんだよ。商売人として当たり前のことです」

 

 


三村たちは、アルバイトの声を集計していた。

ラジオDJのフリをしたり、テレビのレポーターのマネを始める奴がいた。

空いた民家の一画を借り、そこが朽ちかけた家屋で、吹きさらしで、

半ば野外であることが、荒んだ気分に追い打ちを掛ける。

 

 

「俺は8時間労働くらいでマトモに生活していければそれでいいです、っていう、

パーマ大王クン。出たー労働者の鏡ー、こんな人もいます。

でも、今はそういう人が、報われる世の中じゃーないよね」

アンケートはあだ名で書かれていた。本名を出すのは怖い。マイナンバー制度が普及し始めた、今の世の中、何が何に紐付されて被害を被るか分からない。

「労働者に正当な給料を出すためには、やっぱり経営経営改革が必要だよ」

「三村ちゃん、俺たちはただでさえ、左遷されてるんだからさー、そういう発言を村役場の人とかに、聞かれるところでやるのはやめてよ」

農協が仕切っていて、部外者が経営改革などと口をはさむのはタブーに違いない。

生産性の低さを指摘されると、外資の恐怖を煽るなど、話を逸らす。

「パーマ大王クンみたいな、真面目な人の声だけが届くと、マズイんでないの?

村役場は、簡単に農奴が手に入ると思っちゃうし、それで、また死人やクレームが出たら、募集した俺らも危ないかもしれない。

何しろ、現代人の多くはヤワに出来ているから」

だからといって、どうしろというのか。

幼少時から、教育を取り上げて、農作業をさせるのか。

「女性陣だと、「農家の嫁になれとか、言われなければ」っていうのもありますね」

「そりゃあ、農業関係者が、もうちょっとデリカシーを持てばね。

労働もやって、戸籍にバツをつけて、好きでもない男との間に、子供まで作る。

なんて、応募は、ブラック企業が多いと評判のハローワークですら見たことが無い。

ヤクザの為の求人雑誌が仮にあったとして、そんなこと書けないよ」

 

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