読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

ロックバンド・インパール19


饅頭を半分くらい食べ終えたところで、役場の奴が障子を勢いよく開けた。

「祠のこと、教えたの、佐藤さんでしょ!」

役場のスタッフは、佐藤のこたつ潜り込んだ。

「ブルーシートごときじゃ、隠せんよ」

「せっかくの村興しのチャンスだったじゃないですか。何てことをするんですか」

「しかし、骨は骨じゃよ」

「彼らが亡くなったのは、昔のことです」

「だったら、あんなところに取っておかなくても、海にでも運んで行って捨てりゃあよかったんじゃ」

「それはちょっと……呪いとか怖いし」

「あんたも知っての通り、戦後の農村がやってこれたのは、農業補助金のたまものだよ。

それは、東北の農村から発生した、226の呪いじゃよ。

農業補助金はバッシングを受けている。中央からの金が途切れたら、ここはお終いじゃ。祠の骨がますます増えるだけだ。ワシもあんたも白骨化する」

役場のスタッフは、上がり込んで饅頭を食べ、じばらく佐藤から何らかの譲歩を引き出そうと粘ったが、饅頭を3つくらい平らげた時点で、満腹になったのか、諦めて帰って行った。

 

 

「心霊番組で、死者を鎮魂した祠を取られそうだから、揉み消せ?」

プロデューサーは欠伸をした。よくあるクレームだ。いちいち相手にしていられない。しかし、今回の相手は、総務省農水省。面倒くさい相手だ。

「もみ消しも何も、もう放映されてしまいました。

村の名前は伏せてあったから、大丈夫だと思いますが」

が、インターネットでは容易に特定されていた。どこの村かなんて、グーグルマップや現地の人の投稿で一目瞭然だ。

「あの骨は、俺たちの未来像か?」
「仕事させるなら、まともな報酬を払え」
大本営広告を打った奴は、殺す」

三村たちは、やる気が無くなった。

かつては天下のD通、集まってくるのは一流企業ばかりで、詐欺物件を売りつける仕事はあまり請け負ったことが無い。

この企画、サッサと企画の方から、潰れてくれて、よかったんではないだろうか。

心霊番組のやつに、饅頭もっていこう。

小沼が、平田ウノに横恋慕した撮影スタッフにストーカーされて気味悪がっていたけど、

 

 


「その土地から離れたくなくて、どうしても補助金が欲しいなら、

それも良いけど、だったら孤児とか難民とか受け入れたらどうなんですか。後継ぎが欲しいなら」

「はあ」

「だって若い人たちは子供を欲しがってないし、痩せた土地で農奴にもなりたくないでしょ」

「それか過疎村を一か所に集約して、人口をキープするんですね。リストラされた地域の役場や農協の人のクビは飛びますが」

「それが政治的に無理っていってるじゃないですか」

「ここ30年あまり、リストラの嵐でした。民間企業がどれだけ血を流したと思ってるんですか。役人の特権意識は、どこまで高いんですか」

「嘘くさい広告を打っても、騙された人がキレて報復されるだけなんですよ。

僕たちはそういう、人々の怨嗟の矢面に立つのはゴメンです。

ご自分の資金でも投入してやってください。あなたたちは、儲かってるみたいだし」

「あんた、会社が潰れて、ヤケクソになってるんじゃないかね。
まあ、もう、来なくていいよ」

総務省の役人は、あっちへ行けというように、手を振った。

三村と田沼は、霞が関を後にした。どうせ1年契約だ。また新しい仕事を探そう。俺たちは有能人材だ。

 

広告を非表示にする