ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

Rio Grande11

 

「ヒランプさん、私がヒランプさんの手が小さいとか、言ったこと、まだ怒ってますか」

「手が小さいなんて大したことじゃない。アソコが大きいのが大事だと、公衆の面前で、放言できたんだから、大いに感謝してるよ。

怒るわけない。アソコが大きいのが、トランプさんには大事なんだ。手が小さいなんて大したことない。

あれは、ヒランプさんの栄光の一瞬だよ。ルビオさんは、ただの噛ませ犬だったよ。

元は、ヒランプがルビオさんに、背が小さいとかイチャモンをつけたのが発端だし」

「ヒランプさんに、会いたいって人がいるんですけど、紹介しましょうか?

メキシコ人向けの、ビジネスしてる人です。

メキシコ人について困ってるじゃないですか、あの人。

リオグランデに壁を作る、なんていうのは、困ってる証拠なんですよ。

彼はスペイン語もできないし、チカーノみたいな容貌もしてない。手が小さいというのは、言葉の綾ではありません。

ファックとかシットとか言って誤魔化してるけど、収入やご家族の姿を見ると、白人のエスタブリッシュメント臭が紛々だし。

ヒスパニックは、アメリカの人口の20%に迫る勢いだから、無視できません」

 

 

工場を脱走してカリブの太陽に職を得て以来、アドリアナはスマホで娘と連絡が取れるようになっていた。

アドリアナの娘の英語の成績はよかった。中学を卒業し、インターネットの求人広告で、アメリカの牧場に職を得たと言った。

中学の成績表のコピーを送ってもらったこともあった。

それが本物かどうか、アドリアナを喜ばせる為に、友達の成績表をコピーしたものか、知らないが、こうなってみると本当のようだ。


アドリアナは朗報に胸をときめかせ、娘からの通話を切った。

少し大人っぽくなった娘の声が耳の奥に残った。少し、心配だった。私みたいな目にあわないかどうか、後で牧場の場所を聞いて、見に行こうか。

アドリアナが昔いたヒドイ食肉工場みたいなところだったら、他の仕事を紹介しないといけない。

「姉さん、何してるの。もしかして、不法移民ってやつ」

大柄な男の影が、アパートの階段に座っていたアドリアナに落ちた。

不法移民、昔なら心臓が飛び出るほど怯えた言葉だ。アドリアナは男を睨み返した。

「私は滞在許可を持ってます。ただ、1年くらいしか有効じゃないみたいだけど、少なくとも今は有効なの。

お兄さんこそ、こんな廃墟で何してるの。怪しい男ね」

「廃墟ってここは、アパートだろ。少しボロッちいが、あんたたちの住居じゃないか」

「そう、どうして私がここに住んでいると思うの」

「そうやって、階段に座って、スマホなんかいじってるからだよ。

その滞在許可書っていうのを、見せてくれないか。俺は、こう見えても、役人なんだよ。あんたたちの嫌いな役人さんさ」

アドリアナは胡散臭そうにウィルビーを見て、自分のIDカードを取り出して見せた。

「何だコレ。俺はこんなのは、初めて見た。照会したいから、借りたら駄目か」

「持って行かれても困るのよ。それが私の滞在許可書なんだから。本当に怪しい男ね。

そうやって人のカードを盗んで使おうっていう魂胆じゃないの」

ウィルビーも同じようにポケットから自分のカードを出して、アドリアナに見せた。アドリアナのカードより、分厚い。

「俺は入管だよ、これは手帳。あんたが見ても、本物かどうか分からないだろうけど。

そういえば、あんたみたいな人にこういうのを見せて、

おかしなところへ連れて行ってしまう奴がいるらしいな。

その入管の手帳は偽物で。

もちろん、コレは本物でだよ。今のは例えだ。

でも、あんたのカードを持っていくのは止めた。

その代り、そのカードを、どうやって入手したのか教えて欲しい」

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