ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

オアシスは少ない6


「シリアでは、レンジャー部隊に救出された女性が、何故、嫉妬されるのですか?羨ましがられるからですか?」
「シリアでは、アジアのアイドル情報サイトが翻訳されて人気があります。何故ですか?」

パンツスーツの女性の質問に、ナワルは全く答えられない。知るか。

お前が勝手に考えろ。

ナワルはパンツスーツの女性へ言った。

「分かりません。私たちは、そういう教育を、全く受けないのです。

何でしたら、その答えを、全部あなたたちが、考えて下さって結構です。

私たちはずっと、そうやって生きてきたのですから」。


「男性が女性の体に触れる瞬間が、テレビに映るのは珍しい事です。

宗教上のタブーです。

仮に、それが必要なことであっても。

シリアでは、親族以外の介護はできません。介護士という職業はありません。

病院の看護師は例外的に許されています」


スタッフたちはインターネットでアラブ圏の文化を調べ、適当に原稿を書いて、ナワルに見せた。

それは、ナワルのインタビュー記事として載り、隣にナワルの写真が添えられた。

 

 

 

マリクは、違う目的でレンジャー部隊の動画を見ていた。

マリクは、その画像を何度も見ているところを、友達に見られて、あの乞食女が好きなんじゃないかという噂が、クラスで立っていた。

「オイ、マリク、知ってるか、乞食女が、いなくなったぞ」
「お前が攫ったんじゃないのか。同棲してるとか」

マリクは、レンジャーのヘリに魅せられた。

が、どこへ行ったら見られるのか分からない。

イスラム圏同士の人々の出入りはゆるいが、近隣諸国にある米軍基地は、関係者以外は立ち入り禁止だ。

独自の軍備をもつ国々の多くは、独裁国家でガードが堅いし、メカの作りが甘いのか、よく事故を起こしていた。

「そろそろキミたちは、卒業が近い。卒業後の進路について相談しよう。1日だいたい、5人だ。出席簿準に呼ぶから、後ろに日程表を張っておく」

マリクたちの卒業後の進路には、そんなに種類が無かった。

聖職者、警官、出稼ぎ、商店主。

それに学校の先生は、生徒の進路に、あんまり介在しない。

生徒の財政事情がいろいろだし、学校は、そんなに学科の教育には熱心ではない。

 

「あのヘリを作りたい?
寝言もいい加減にしろ。言いたいところだが、お前は成績が良い。

ココから、かなり遠いけど、アブダビでやってる試験を受けてみろ。

多分、学校が金を出してくれるから。校長は、卒業生から大物が出るのを期待してる。

見込みがあったらマサチューセツ工科大学とかに、入れるかもしれない。まあ、並みの成績優秀者じゃ無理だよ。

それに金を集めるのも大変だ」

 

 

 

マリクは金福おじさんの家に招かれ、緊張した。

きっと美味しいものが出てくるし、豪華な家の中身には興味があった。

が、どうして僕に用事がある?少年奴隷になれとか?

用件を聞くのは怖い。

「あんたの気に入ってるナワルさん、

今はベルギーにいるんだよ。知っているか」

「金福おじさんまで、小学生みたいな噂を信じないでください」

「カッハッハ。冗談だよ。あんたも海外に行きたくないかね。

この金の仏像、あんたにやっても良い」

「いらないですよ。そんなの、僕は使わないし。

どうせ、盗まれたり、

逆に、僕がどこかから盗んだと、疑われたりするだけです」

「髭蔵先生から聞いたんだよ。

あんたは、ヘリが作りたいんだろう」

「その仏像1つで、ヘリが作れるんですか?でも、技術が無いし」

「ワシが技術を学ぶ為の、資金援助をしてやるさ。もしあんたが試験に受かったらな」

 

 

 

 

「試験会場が、パンク?」

3人の警官が駆け込んできて、署長は困った顔をした。警察の不手際は、すぐに市民のクレームを呼ぶ。

今年の警察官は、応募者が多いとのこと。何でこんな不浄で、通行人から石を投げられるような仕事なんかに。

「金福の家でも、貸してもらいますか?それか、テントを張るとか。屋外だと、砂が飛んでくるけど」

「レンジャーのヘリとか見て、カッコイイとか思ったんじゃないですか、男も、女も。みんな単純ですから」

世の中の半分くらいの人々は、自分の能力を、ひけらかすのが、好きだった。ソレが性的能力しかないって人は、少なくない。

好き好きだが、平和の祈りは、人との競争のルールをしらないので、ヤリ手を公開処刑したり、下らないことでモメていた。

 

金福は平和の祈りの支配が退屈だった。だから海外貿易に道を見出した。

知らない人とのコミュニケーションは、楽しいでしょう。

平和の祈りは、世界と、ヘリすら作れない自分たちとの、決定的兵力差を目の当たりにして、羊を決め込んだ。

たまに誰かに土足で踏み込まれたり、一方的にムシられるくらいは我慢して。

金福の手下も、負けず劣らず増えていた。

コイツラの生活費のほとんどは、金福が賄っている。やれやれだよ。

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