ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

出出出出出弾8


千沙は、やっぱりコメダに来ていた。ノッチとは、逆の方向の席に座っていて、お互いの姿が見えなかった。

パチンコへ行く集団を追いかけるのは諦めた。あのBGMの演歌とか、ピコピコ音とか、煙とか、苦手だし。

コメダで、あまり体育会系っぽくない兵士を1人見つけた。

が、私服だから、彼が本当に兵士かどうかは分からない。推定だ。

コメダの中に、兵士がいるかどうか、1人1人聞いていくしかない。

気の小さい千沙にはキツイ作業だが、こうなった以上、何か戦果を上げないといけない。

とりあえず、1人で本を読んでいる彼を、兵士と推定する。あまり何人もハズすのは痛い。

詐欺商法の営業か何かだと勘違いされて、終いには追い出されるかもしれない。

「すみません、自衛隊の方ですか」

対象は本から目を上げた。

「そうですが」

やった、アタリだ。

 

 

 

3人は店から追い出された。

マッキーと兵士は、ブラブラ外を歩いた。互いに謝りあった。

すみません、私のせいで追い出されちゃって。

俺が椅子を蹴った音がうるさかったから、店員が来たんだよ、ゴメン。

マッキーを膝の上に誘った酔客は、2人の速足について行けず、途中で脱落して道端に座り込んだ。オッサンは間もなく見えなくなった。

「この辺は、何か面白いところ無いですか」

「無いよ。あるかもしれないけど、俺はパチンコばっかりやってるし」

「パチンコは面白いですか」

「それはキツイ質問だね」

「すみません、私はやったことがないから」

「俺は給料の4分の1くらい使っちゃう。バカだと思うんだけど、他にすることないし。お姉さんは、何でパチンコなんてやろうと思ったの」

ヤベー、またもやストーカーがバレるピンチが。

「このパチンコ店には、イケメンがたくさんいるって言う噂を聞いたから」

マッキーは、電柱に頭をぶつけたくなった。墓穴を掘るな!これは女子高生同士の会話じゃないんだよ。

年上の兵士との会話法なんか、知るか。

マッキーの知ってるのは、バスケと女子高生くらいだ。

「イケメンなんかいないよ。変なのばっかりだよ。あのオッサンみたいな」

自衛隊員の人がたくさん来るって聞きました」

自衛隊員を狙ってるの」

「あなたを狙ったんです」

マッキーは投げやりになった。

問題は戦果。そう、戦果。もう恥をかくなんて、どうでもいいことだ。

ヒアリングに失敗したら、それはそれで1つの戦果だ。あとでどこがいけなかったか、他の子に聞いてみよう。

仮にこの兵士に嫌われても、もう二度と会わないし、ここは自分の住んでいるところから遠く離れた自衛隊駐屯地の周辺だ。

 

 

出出出出出弾に、駐屯地の違う事務員から電話が掛かってきた。

主任が、ホールスタッフたちを呼んだ。

「スパイを追い出して歩け?

嘘でしょ。後から訓示するとかいってましたよ」

「けっこう、多くの人が捕まってるんだよ。

隊員の隣に座ってカップルシートに移ったりとか。

連れだって店の外に出たりとか」

「どういう口実をつけて追い出すんですか」

「他の客が殺気立ってます、とかいって」

「なら、ハナからカップルシートなんか、作らなきゃいいじゃないですか」

「あそこは豹柄のオバチャンと土方とか、そういう連中がシャレで座るんだよ。本当にこの手の可愛いカップルが来るなんて、想定してないよ。

お前ら、俺たちが世間から、どんだけイメージ悪いのか、分かってるのか」

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