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ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

マフマフ3

 

マフマフ近郊の農地で活動していたマキオたちに、日本政府から強制退去命令が出た。

無駄な人的被害を出すことはできない。

今後のアフリカでの活動に支障がでるし、日本人が死ねば、政府にクレームが殺到する。

「現地の人たちは、そのままですか。せめて、子供たちだけでも非難させることはできませんか」

戦後のアフリカで、凄惨な戦いは腐るほど起こってきた。政治の腐敗、過剰人口、食糧不足、海外から流入する武器、植民地時代に引き起こされた民族の分断。

ベンジャニは泣きそうな顔をし、マキオの手を離さなかった。マキオに懐いていた少年だ。他の隊員が使わなくなった、古い自転車を上げたりした。

ベンジャニは、彼の手を握りながら、隣のカルシャと左手をつないでいた。ベンジャニと仲の良かった少女。

「ベンジャニとカルシャに、これを上げるから」

マキオは彼らに、手元にあったスマホの1つを差し出した。

「俺たちのいる、日本政府には、マフマフを荒らしまわっている、統一反乱軍の動きがある程度、入ってくる。

逃げると良い方向とかを送るよ。

ヤバくなったら、とにかく逃げろ。

もし戦おうなんて奴が出てきたら、そいつは放っておけ。

全ての人を救おうとか考えたら駄目だ。この村には重火器もないし、そういうことは不可能だ。

こういう紛争はすぐに終わる。すぐでないとしても、必ず、いつか終わる。

またいつか、良い生活に戻れるから、とにかくヤバイ奴を避けて、身を隠して、終戦を待つんだよ」

マキオは、ベンジャニたちに、ケースによっては村人を見捨てろと教えることに、心痛を感じた。

彼の元に、余っているスマホは1つしかなかった。

 

 

 

 

ベンジャニたちの集落は、大規模な襲撃を受けた。

山間部は良い要塞になるし、そこは日本人が滞在していたから、何かの資材が残っていると、統一反乱軍に思われていた。

マキオから統一反乱軍が村へ向かうと連絡が入ったし、銃撃の音が遠くから響いていた。付近の村が襲われている。

ベンジャニは勇気を出して長老へ進言した。ベンジャニはただの子供、元服も済ませていない。

「俺たちはあいつらみたいな重火器を持ってないし、逃げるしかないよ。日本人だってそう言っていた。

カルシャがこの通信機材を貰った。彼らは、俺らが逃げる方向を知ってる。部族が生き延びる方法を知ってる」

「フン、小童が何を言うか。ワシらは誇り高き部族だ。

多少は人の手を借りたが、こうして時給自足の生活を作り上げてきた。

アフリカ人は、逃げてばかりだから、寄って立つ土地を失って惨めな思いをするんだ。

ワシらはここを死守する。先祖の名にかけて、ここは渡さない。この白猿に洗脳されたボンクラめ。逃げたければ逃げればいい」

ベンジャニとカルシャは、顔を見合わせた。眉間にしわが寄る。

2人で、逃げて、どうする?そんな生活は送ったことが無いし、パパとママのことも心配だった。

彼らはすぐに、重火器や自動小銃を持ったマフマフ統一反乱軍に踏み込まれ、囲まれた。

 

 

先進国はかつて鉄道網の敷設競争など、アフリカへの大規模な介入から手を引き、もっぱらNPOや企業活動を行った。

少なくとも表面的には、そういう顔をしていた。

それから、莫大な資産をテコにした資源の取引、アフリカ要人の子弟の教育を引き受け、彼らの息の掛かったグローバル・エリートへ育てるとか。

それも現地からの利益の掠め取りと言うことはできるが、中国の利益の掠め取り方は、変わっていた。

アフリカへ道路や鉄道を敷き、中国の人夫を入れて工事に従事させて、アフリカの諸地域の近代国家の体を整えた。

人夫に釣られて商売人がやってきて、中華街を作った。

そうして中国人は財をなし、アフリカのビジネスや政治に堂々と食い込むようになった。

なるほど彼らは欧米流のハゲタカではないかもしれないが、毛色の違うハゲタカでないとは言えない。言うなら、ハイエナか。

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