ちきうアネクドート

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マフマフ9

 

カルシャの運命は、勲章の男から、「将軍」に委ねられた。

村と同じく、血と硝煙の臭いで満ちた大統領府。

将軍は、一見カリスマ性のある容貌をしているが、

洗練された人物じゃないし、恐らく戦闘行為で名を上げたんだろう。

「前の将軍は俺が殺した。手口がヌルかったからだ。俺は、急襲作戦が得意だったから、将軍に認められてた。飼い犬に手を噛まれるとは、このことだな」

「大統領は俺に命乞いをした。それで俺たちは奴を縛り上げて、ロシアン・ルーレットをやった。笑えたよ。お前にもやらせたかった」

将軍はカルシャと寝るようになり、眠る前に、好き勝手なことを言った。

見知らぬ男に蹂躙されたことは、カルシャにとって、死ぬほどのダメージではなかった。彼女の心は、村が血の海になったときにすでに死んでいた。最早、惰性で生きていると言ったらいいのか。

自分を押し倒す、この男が、ベンジャニであってさえすれば。ベンジャニが将軍?そんなのあり得ない。いろいろ狂ってる。

勲章の男とカルシャが、バイクに大統領府に到着したとき、「将軍」は、スマホが気に入ったし、何よりカルシャが気に入った。

スマホ自体は、襲った街から出てくることもあれば、マフマフの大統領府の人間がいくつか残して行った。

カルシャの持っていた地図アプリ自体は、そういった他のスマホをいじっていても、出てくるのかもしれない。

彼らは、戦闘に明け暮れて、そういうことに気を払ってこなかった。

かつての統一反乱軍は、政府の不正を正す為に、腐敗した役人を処刑したりして、人気を上げてきた。政府軍の兵士が、装備を持って寝返ることもあった。

が、今の統一反乱軍は、ほぼ狂人集団だ。元いた兵士は減って行き、彼らは村を襲って強制的に兵力の徴用を始めた。

 

 


ベンジャニを含め逃げた少年、少女たちは、戦闘は未経験だった。どちらに逃げるべきか、どこに向かうべきか、何度も話し合ったが、分からない。

道の途中で、何人かの兵士に遭遇し、手にしていた自動小銃で無差別に撃った。

統一反乱軍の兵かもしれないし、政府軍の兵かもしれないし、脱走兵かもしれなかった。

敵か味方か、判断する基準がなかった。

自分たち以外に、信頼できる人間がいない。村で見た人々の惨殺死体。強要されたとはいえ、彼らが手を下したものだ。

その呪われた手に握られた、扱い慣れない自動小銃

いつか自分たちが、ああならない保証はない。

血と硝煙の臭いに、彼らは慣れて行った。

俺たちは悪魔と契約した。

殺した兵士から装備を奪い、道端に捨ててあったトラックを拾った。

そこに持ちきれない重火器を積み、

襲撃にあった村々を転々とした。そういうところに食糧が残っていることもあったし、無ければ、まだ無事な村々を回って、無防備な人々を脅して奪った。

兵士の集団を見たら、一目散に逃げた。

いくら状況が最悪だからといって、

神様が、首吊りの縄を、目の前にブル下げてくれるわけじゃない。

来世はもっといいところへ生まれて来れるように、なんて。もっといいところって、どこだろう。

とりあえず、生きていく以外に方法が無い。それに神様は、首つりの縄なんか下げない。どんなに状況が最悪でも。

 

 

 

 

「統一反乱軍と交渉している?それは、ありがたいことです。

フランス外人部隊が、私たちの敵に回るのでなければ、共同歩調を取りたいと考えています。そちらの指揮下に入ってもかまいません。

ココは元軍人なども多いですが、警備名目の要員だし、このメンバーで、大規模な作戦行動の経験もありませんから」

クリア・ウォーターは、フランスの外人部隊と連絡を取った。

「アイツらは調子にのってるが、俺たちには少々ビビッているようだ。

奴らはバカだが、兵器の知識くらいはある。フランス外人部隊と、正面から戦闘する気は薄い。

統一反乱軍は、マフマフの大統領府とレアメタル鉱山を占拠したかもしれないが、今度は政府軍が各地に割拠している格好になった」

「世界はこの状態を、どのように見てますか。

統一反乱軍は、残虐行為を繰り返しているんでしょう。

国際社会の制裁が下って放逐されるまで待つべきだという意見も、日本にはあります」

「それまでに鉱山の日本人連中が殺されなければ、の話だよ。あいつらは狂ってるよ。

逆切れして人質を皆殺しにして、国連軍に突撃してくるかもしれない」

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