ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

俺のペニンシュラ4


チンピン少年が、何かを見ている。

トダとルーは、辺りに目を配っていたが、警備の立ち位置が近すぎて、2人は困惑した。

「お前のお坊ちゃま君はいいのか。何でお前が、俺のお坊ちゃまのことを見ている?見て来いって言われたのか?」

「俺が見てるのは、あそこの彼女なんだよ」
「ストーカーか?」

「岸さんが、彼女が、どこをいじったか見ておけだって」

栗色の髪の毛を後ろに束ねた白人のエンジニアが、梯子を立てて、屋根の近くの通信設備をいじっていた。作業服から出ている首が長くて、うなじが綺麗な人だ。

「あのアンテナ、何がついてるのかな」

「さあ。俺たちが知るか。でも多分、NSAのコンピューターは何でもお見通し」

「彼女といえば、俺のお坊ちゃまは、いつも彼女のことを見てる」

「奴もストーカーなのか?」
「いや、好きみたい」

「本人に聞いた?」
「聞くわけないだろ。俺はただの警備員だ」
「聞いてみてよ。キミは、あのブルネットが好きなのかって」
「無理だよ。俺はクビになりたくないし。何かあの子、怖いしさ」

 


20世紀を除くと、歴史的にほとんど、中国の属国ともいっていい、朝鮮半島だ。

そこで、日本人が協力者を探している。

ついでに、アメリカの警備会社が、要所要所の警備を請け負い、いつまでも居座っている。おかげで全ての情報は筒抜けだった。

これは致し方が無い部分もあった。中国もテクノロジーが追い付かない時代は、アメリカの警備会社にテロ対策を頼っていた。

しかし技術はキャッチアップする。そろそろ彼らが邪魔になってきた。

シーはそうした面倒事にケリをつけるべく、息子を連れてここに滞在していた。


「父さん、チンクが外国人女性に相手にされないなんてヒガミだよ。
俺は彼女を射止めるよ」
「あっそう」

チンピンは来賓部屋のベットに座り、パソコンをいじっているシーを見た。

中国の韓国大使のシーは、息子の大言壮語をいつも聞き流している。
「で、俺はここでエンジニアをやっている、ブルネットの彼女に話しかけたい。
父さんも何か、感じの良い英語を教えて」
「韓国は中国の領土です」
「父さん」
「韓国は中国の領土だよ。つまり俺がここのボスだっていうことだよ」
「父さんはヤボだよ」

つまらないジョークはチンピンも知ってる。彼女の体は俺の領土だとか。

そういう卑猥なことを言う友達はいるけど、

彼そういうのが好きではない。彼はフェミニストだった。内心はともあれ、少なくとも、立ち振る舞いはそうあろうとしていた。中国人の割には。

野蛮人だらけの中国人の中で、目立つ戦略だ。

「将来は、ビックマネー、ビックマネー」
「ゼニゲバなの?」
「俺の父さんはイケメンです」
「ふざけないでよ。俺は真面目だよ。アイム・ファッキン・シリアスなんだよ」

ファッキン・シリアスか。彼は極めて真剣だった。

彼らの領土を蹂躙する日本人を殲滅することに。彼らには永久に、泥の中を這い回ってもらわなくてはいけない。

叛逆の危険性の全く無い、土人としてなら、生存を許そう。


岸は米中韓に広い人脈を持つ、日本人のフィクサーだが、アヘンの密売人として中国で知られていた。その手の噂は、本当のこともあれば、全くのデマなこともある。

いずれにせよ、中国本土での岸のイメージは悪い。

 

 


「お兄さんは、チンチンピンピンの隣にいるお兄さんと友達なの?」

トダは戸惑った。

ヤベエ、さぼっているところを見られたか。

来賓のボディーガードと休憩時間に話していけないという法はないだろうけど、

来賓も、この館の主も、彼らを、同僚で仲が良いと知って雇ったわけではない。

いずれにせよ、どちらの情報も、アメリカには筒抜けなのだが。

それから、チンチンピンピンって何なのかな。

来客の連れてきた子供、シーチンピンのことだろうか。

トダとルーの間でも、その話で持ちきりだ。本当は、そういうのって、いけないんだけど。

トダの前で、タローはおもちゃのライフルの先を地面にグリグリやって、土を掘っていた。

その土がシンゾ―の方に飛んできて、彼は、やめろよ、とタローにケリをいれていた。

「何でそう思うんですか?坊ちゃん」

「お兄さんたちが、仲良さそうにしゃべってるのを見たからだよ」

タローは、彼らに、いつものようにBB弾を当てようと思って、止めていた。

何となく、密会っていう空気がしたからだ。

「じょ、情報交換?じゃなくて、挨拶?」

「スパイなんでしょ」

「そんなわけないじゃないですか。そんなこと言わないでください。私は岸様の警備員にすぎません。岸様や坊ちゃんたちをお守りするのが仕事です」

「僕たち、頼みたいことがあるんだよ」

「な、何なりと。聞いてみないと分からないけど」