ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

俺のペニンシュラ5

 

咳払いや、指でテーブルを叩く音が、意外と大きく聞こえる。2人は、雑音をクリアにする装置などは貰わなかった。

「お宅、人の陣地でつまらないことをしているようですが」

「ほう、ここが中国の領土とな」
「違いますか」

「韓国の人に聞きましょう」

「少なくとも日本人がでしゃばってくるよりは、気分が悪くないでしょう」

「私たちは領土的野心なんて持ってない。

話の通じる人を探しているだけに過ぎません」

「あんたに通じる、何の話かね。核かね。政権転覆かね」

「そういうことも選択肢に入れてるでしょう、アメリカなんかが。みすみす、朝鮮半島を、あなたたちに渡すわけがない」

「そういうのを、ここでは売国奴というんだよ」

「私や彼らが売国奴なら、あんたも当然売国奴ですよ」

「交易に文化交流なら多いにけっこう。しかし、あんたの企んでることは、どうやらそうじゃないんだ」
「私が何を企んでいると、あんたは思っているのかね?」

「あんたはバレてないと思ってるだろうが、そのマヌケな魂胆は筒抜けだ」


タローとシンゾーは、トダの会社から持ってきて貰った盗聴セットを、盗聴器の方を、鬼ごっこの合間に、応接間のテーブルの下に貼り付けて、

スマホについた再生装置を、二階の部屋の奥の、人に見つかりにくいところで、聞いていた。そして、途方に暮れていた。

「お前、意味、分かる?」

「政権転覆って何なのかな」

2人は祖父に、この会話の内容の意味を聞きたい。

かといって、盗聴のことをバラすわけにもいかないし。

「僕は考えたんだけど」

シンゾーは窓枠に乗って足をぶらぶらさせた。

「僕たちも、ここに同席するんだよ。売国奴って顔で」

売国奴って顔で、か。あのな」

タローはシンゾーを見上げた。窓から入ってくる日差しがまぶしい。

「お前、外国で迂闊に知らない言葉を使うのは危険だぞ。例えば、いきなり撃たれたりするし」

「だから、おじいちゃんに聞けばいいじゃん。僕たちは、いつまでも何も知らないでいるわけにはいかないだろ」

 


あんまり天気の良くない日の昼下がり。外は小雨が降っていた。

2人が、いつものようにお菓子を貰おうと思って、来賓に狙いをつけていると、

その席の隅にチンピン少年を見つけた。

良い具合に、応接間から吹き抜けになっている二階のバルコニーの廊下には、高い花瓶に挿した生け花があった。

タローは花瓶を持ち上げると、チンピンに向かって投げつける。

いつものコントロールの良さを発揮して、花瓶はチンピンの頭を直撃した。

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