ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

俺のペニンシュラ7

 

まさに、戦争したくなくて震える、だ。

今こそシールズが、青島の街を占拠してくれないだろうか。アメリカのネイビー・シールズでも、俺のいたシールズでも、どっちでもいい。

ハマは頭を抱えていた。

人民解放軍を脱走すると、どうなるのか。そんな情報はおいそれと転がっていない。

俺は日本人で、監視がついているだろう。

今は混乱を極める、戦時中の南京ではない。あのジイサンも無責任なことを言ってくれた。

人民解放軍の青島の部隊は、一か所に集められていた。

「お前らに、良い知らせがある」

「出撃だ」

少尉は、机をバンとならすと、銃の柄に手を掛けて振り上げて見せた。

集められた兵隊たちは、微動だにしなかった。ふざけていると、多くの兵士は思った。ここの部隊の、彼らは、あまり実戦経験がない。

中ロ国境の小競り合いは無くなって久しい。

「しかし、お前らには、さらに、良い知らせがある」

少尉は、銃の柄で机を叩いた。

「部隊の数は、こんなには、いらないんだ。

韓国ソウル近郊の、小さな屋敷を襲うだけだ。

ここには、年老いた親が心配な兵士、結婚したばかりの兵士、子供が生まれたばかりの兵士、いろいろいるだろう。

俺たちは鬼じゃない。

行きたくない奴は、席を立って部屋に帰って良い。本当だ」

辺りは静まり返った。誰も席を立てない。

これは不満分子やタダ飯食いをつまみ出す為のテストだと誰もが思った。少尉はしばらく部屋を見渡し、手が上がるのを待った。

「そうか、それなら、くじ引きだ」

 

 

 


いつの頃からか、屋敷の前には、大量の壺が積まれるようになった。

韓国の市民活動家が積んでいく壺だ。いろいろな形、いろいろな大きさ、色がある。

漬物の壺から、花瓶まで。

日本人は出ていけ、ってことだ。

内閣官房長官を経験したことのある岸は、当時から壺のアイコンで揶揄されることがあった。

中国の世論工作が功を奏し始めた。


タローとシンゾーは、庭に詰まれた壺を蹴り倒したり、

中にミミズやムカデを入れて、ロシアンルーレットをして相手に手を入れさせたりして遊んでいた。

ある日、彼らは祖父に叱られた。この壺は、そのままにしておくのだと。

たまに、すごくいいものが、入っていることがあるから。

 

 


大統領府の協力者と、岸は、壺を使って連絡を取り合うようになった。

この中に入っているメモリには、

韓国の某閣僚が中国ビジネスで不正蓄財しているとか、

中国のマフィアと癒着しているとか、

中国共産党の重要幹部が、タックスヘイブンに大金を隠しているとか、欧米の軍需技術を盗んでいるとか、

ありがちな、しかし国際メディアでキャンキャン吠えられると、ひとたまりもないようなことが、たくさん、記録してあった。

政治やビジネス慣行が前近代的な中国では、この手の事例には、事欠かない。

何かを隠したければ、一番危ないところに隠せという。

この壺の山は、庶民が容易に近寄れるし、屋敷の子供たちが良く遊んでいた。

仮に彼らの手に渡っても、メモリは暗号化されているから、何が書いてあるかはわからない。

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