ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

俺のペニンシュラ12


トダがシンゾーの手を引いて、裏口から出ると、すぐに銃をこちらに向けた人影を捕え、撃った。三回くらい撃つと、相手は倒れた。

屋外に韓国大使のシーとチンピンがいた。彼らは武器を持っていない。丸腰だった。人民解放軍の救出を待っていた。

上からヘリの音がしていた。かなり大きなヘリで、アルファベットと星のマークがあって、下から見る限りは、アメリカのものだ。

ヘリのサーチライトで、目の前の死体を確認し、トダは叫び出しそうになった。

ルーが仰向けで倒れていた。目を開けたまま。

ハマがさっき撃った兵士だ。

今日、襲撃が来る前まで、ずっとダベッていた僚友だ。孤独な戦場下の、貴重な同志。

そのルーを、ハマは殺してしまった。

 

 

血まみれのシンゾーは、ヘリに乗り込むと、床に座り込んだ。

周囲を見渡すと、大型のヘリの中には、既に、タロー、岸、給仕たちなどがいた。

屋敷のメンバーは半分くらいに減っていた。

数人のアメリカ兵がいて、人民解放軍の制服をきた兵士が2人いた。

1人はタローを連れてきた老兵で、もう1人は、制服の胸元に血の染みが広がっている大柄の男だ。


トダは、体が震えていることがバレないように壁の近くへ寄って、泣いていた。

ルーが死んでしまった。俺が撃った。

ルーは戦闘前に、俺に逃げろと言った。俺が逃げていたら、彼は死ななくて済んだのか。

どのみち誰かがルーを射殺していただろうか。俺の代わりの誰かが。戦場ではいくらでも身代わりがきく。

 

 

 

これまで2人は、どんなひどい遊びをしようとも(泥団子投げとか)、ここまでひどい姿にはならなかった。

沈黙が2人を支配した。

何でお前、そんなに、血まみなの。人、殺したの。

タローはシンゾーに聞こうと思って、黙っていた。

何でお前、人民解放軍の兵士に、手を引かれてきたの。中国人と、何か取引したの。

シンゾーはタローに聞こうと思って、やっぱり黙っていた。

僕が武器を渡されなかったのは何で?

まだ子供だから?

タローがライフルを持ってるのは、何で?

ここにいる、屋敷の人の人数が少ないのは何で?

シンゾーがポケットにを入れると、メモリチップが手に触れた。

シンゾーは祖父を見た。

「奴らに復讐、しないの」

「いずれはするさ。さすがに、こんな汚い奇襲を掛けてくるとは思わなかった。油断していた。ワシが悪かったよ、クソ」

岸はシンゾーの頭を撫でた。ひどい目に合わせて悪かった。

「韓国に人民解放軍を、いきなり入れてきたことは、批判されるはずです。内政干渉でしょう」

岸の側近が、返り血を拭いながら言った。彼はライフルを持っていた。

「お兄さん、スマホ貸して」
「ご家族の方に、連絡を入れないといけないですね」

シンゾーは自分の無力さに気が塞いで、メモリチップを借りたスマホに刺した。

北朝鮮レアメタル鉱山などの地図と、入札業者と価格の表が載っていた。

子供の自分が、持っていてもしょうがない情報だ。シンゾーはスマホを祖父に渡した。

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