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2:忙しいので書き殴りです、後で直します(すまん)

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

亡命イラク人1

 

こんな運の悪い地域に興味を持つ慈善事業家は世界にいない。

爆弾の落ちた地域は、運が悪い。

ここはもう、一日中ほっつき歩いても、金や食べ物の1つも落ちてない街だ。

爆発物の破片や、死体が転がっているだけだ。

埋葬する人の人数は足りないし、残された人には、遺体の1つ1つを墓まで持っていて穴を掘ったり、そういう気力も残っていなかった。

ここは巨大な墓だ。

コレは何か。空爆葬とでも言うのかな、新しい宗教として売りだしたらどうか。多くの場所で信者を獲得できるだろう。

ボスニアとか、ソマリアとか、スーダンとか。

イラクは、スンニ派シーア派が執拗な争いを繰り広げて、フセインが独裁でそれを何とか抑え込んでいた。

ここらで1つ、新しい宗教が必要かもしれないだろ。空爆葬だよ。

フマヤンが乾いた哄笑を上げても、誰も振り向かなかった。みんな気が可笑しくなっていたからだ。

メメリカへのパスポートを配るのは、大っぴらにはやっていなかった。

パスポートが要るか、要らないか。即答だろう。要るに決まっていた。ここには何の希望も無い。

焦げ臭い故郷を捨てて、どこに行くとか選んでいる余裕なんかない。

自分には家族がいて、ただ生き延びるしかないからだ。

メメリカへ行くのは、生きることそのものだ。

俺たちを地獄へ突き落した奴のところへ。

イラクに爆弾を落とした政府が牛耳るところへ。

 

 

「俺は米軍で死んでもパスポートが欲しいよ。それでも良い、5割くらいで死ぬとして、そのくらいは全然OKだ。俺たちには後がない」

そう、彼らを止めても仕方がない。亡命イラク人の、この回答は予測できた。

アリソンはこれまで多くの救いようのない途上国の人々を見てきた。

国連の難民キャンプで指を咥えて放心して生きるには、目の前の青年は生命力が溢れすぎていた。

彼らは生きたい。どういう手段を取っても生きたい。家族の為に、自分が生きてきた意味を探す為に。

メメリカのパスポートが欲しい外人を米軍へ放り込んで絞るのがセコイ、だって?ふんならアンタが代わりにイラクに行ってくれ。それで俺にパスポートをくれ。それじゃ、駄目か。

カリームは嘯いた。面倒くさい奴は追い払うに限った。往年のイラクのバザールにだって、この手の奴はいた。どこにでもいる人種だ。面倒くさい奴。

バザールは食い物を探すところだ。ウンチクを垂れる場所じゃない。そもそも俺、人権とかそういうこと、知らないし。学校で習ってないから。食えないものには、興味も無かった。

「アンタと俺は、宗派が違うんだろう。それはイラクでも、良くあることだ。宗派対立ってのが、あんたの国にもある、そういうことだと思う。

同情はいらない、チャンスをよこせと、俺は思ってるよ。イラク兵の利用を人権侵害だと騒ぐ奴は、隠れ既得権益層じゃないのか」

「その通りです。私たちはまごう事なき、既得権益層です。だからその既得権益を使って何をしようと勝手です。

偽善を気取っても良いし、あなたたちを利用してもいい。そのくらい言われることもあります」

「そうか。アンタは良い奴で、物わかりが良い。そう俺にアピってる」

メメリカとイラクの間に、偽善者は多過ぎた。だから現状、こうなっている、多分。

いや、偽善とは違う。戦火から逃げてきたイラク人を、メメリカに入れてくれる奴が善人で、入れてくれない奴は悪人、そういうのじゃない。

たってコレは、アンチ・カラードの白人から見たら逆なんだから。

カリームは英語の上達が早かった。新参のイラク人コミュニティで、面倒臭い話は、すぐに彼に回された。

目の前のエリート臭がフンプンとする先住黒人は、変種の偽善者だと、自白してきた。アリソンって奴。

「アピっても仕方がないでしょう。私はあなたたちの話を聞きいて、何が問題解決の糸口になるか、知りたいだけです」

「俺がそんな展望のなさそうな会話の相手をする気が無いと言ったら」

「違う人に話を聞くしかないです。イラク人はたくさんいますから」

 

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