ちきうアネクドート

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亡命イラク人2


イラクの同胞を撃つ。

大したことじゃなかった。見知った顔に会うことはほとんどない。

元々イラクは派閥争いがひどいし、フセインが無理やりまとめあげた独裁国家だから、誰も彼もが同胞だという意識は少ない。

大したことじゃないと思わないとやっていられないから、大したことじゃない。そういうことだ。

中には自分がお釈迦になるやつもいた。現地のイラク人のゲリラは強敵だった。

勝手知った土地だが、爆撃で崩れたりしていたら、それはもう元の街じゃない。そうなったら、知らない土地と同じくらい動きにくい。

運だ。全てが運だ。イラクなんて土地に生まれてしまった人間の、天運任せの人生。

 

 

 

イラク人の米兵が、イクラ戦争で殉教した。ハッそれが何だよ。そんなもので居住権を得た気になるなよ。

イラク侵攻は、テロリストが原因だ。フセイン大量破壊兵器が原因だ。

アラブ人は諸悪の根源だ。出ていけ。お前らはここの秩序を乱す。何処にテロリストを匿っているか分からない危険人種だ」

その豹柄の発言は、大きなバッシングを呼んだ。

当の豹柄は、バッシングを受けたこと自体が心外だった。だから従軍したアラブ系アメリカ人たちの怒りに火を注いだ。

「アメリカのムスリムが、何が1つでもアメリカの役に立つことをしたか。家でゴロオロして、モスクでクダをまいてるだけだろ」

導火線は、元々セットされているものだ。彼らの脳内などに。だから、何かのキッカケで誰かが火をつけると、止まらない。

そういう地雷が全く無いのは、バーマオとかごく少数の、エレガンスを備えた人だけだった。

「あなたの支持者が頭カラッポだからって、あなたで頭カラッポになる必要はありません。

それともあなたのデカイい頭には、元々何も詰まってないのですか。薄汚いFワード以外には。

イラク戦争で何人のイラク人米兵が殉職したのか知らないのですか。

イラク戦争には多くのイラク出身者を必要とした。重要な情報から、通訳から道案内まで、彼ら無しには成り立ちません」

「ハハハ、だから負けたんじゃないのか」

「負けた、ですか。

あなたは苦渋の撤退を、そう表現しますか。次の戦争がやりにくくなりますよ。微妙な商売をやってる方面に、嫌われないように気を付けて下さい。

ムスリム以外にも、あなたの敵は多い」

彼は感じの悪い部下だ。だが、ここは豹柄が気に入らない奴を次々とユー・アー・ファイアードと切っていく場所ではなかった。

最低限の理性と計算ないとビジネスはできない、いくらなんでも。

キヨウワトウは派閥対立に陥っていた。

ただのレジーム・チェンジってことかもしれないし、10年後には元鞘かもしれない。

 

 

 

「俺のトークに、どこかの馬の骨からクレームが出た。そんなのは、いつものことだろう」

戦没者の遺族を、馬の骨と表現するのは、いけません。アメリカへの最大限の侮辱です。紳士のマナー講座通いますか」

豹柄は、お前も紳士って柄かよ、と言う目で補佐官を見た。

彼は、そもそも紳士でございって奴が嫌いだから、周りの閣僚連中に、そんな奴はいない。こうした紳士的な対応が必要なシーンでは、混乱必至だ。

といって補佐官は、全くの野蛮人ってわけじゃない。バランス人事で入った、キヨウワトウの重鎮だ。

多少の紳士ツラが出来ないようでは、アメリカで政治家はやっていけない。

エスかノーかで答えろ。アメリカは猿の檻じゃない。文明の塊だ。

補佐官は、そう豹柄に突き付けてみたい。キヨウワトウは揺れていた。野蛮人が他人を奴隷にする感覚と、貴族が他人を奴隷にする感覚は、同じかどうか。

豹柄は素で分からなかった、その違いが。当の奴隷にとっては、その違いなんか、意味がない。そうか?

俺はキリストの奴隷なら喜んでやるよ。それと同じだ。俺は豹柄の奴隷なら喜んでやるよ。そういう人気投票じゃなのか、キヨウワトウの党首選ってのは。

プロレス興行上がりの彼は、俺は庶民だっていう姿を見せるが、ビジネススタイル自体は、どちらかというと相手から奪い取る手法だ。

それをケインズ経済など、多くの人を富ます手法を実地で身に着けていくことになる。

「あそこには戦没者の遺族ってのが、大勢突っ立ってたよ。誰も文句は言わなかった」

「あなたが文句を言えなくしているんです。あなたが何か迫害してきそうで怖いから、彼らは黙ってる。モスクの地下では、怒りが渦巻いている。そういう態度は下手をすると、テロに会うから、止めた方が良いです」

「頭悪いのはお前だよ。テロリストは殺せばいい。

俺が何を言うとか、言わないとか、そういうのは無関係だ。

大統領が何か言ったからテロを起こす、だから大統領は大人しくカラード移民の犬をやってろ。そんな世の中はクソクラエだと多くの人が思ったから、俺は当選した」