ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

亡命イラク人3


かねてから、口先介入と軍事の関係は不明だった。ハッキリした法則は見いだせなかった。最新のAIだって解けるかどうか分からない。

ヒトラーユダヤ人とかブリッツ・クリークと言っただけで、世界はかなり混乱した。

だいたい、テロ対策って何だ。テロ対策は軍事と言えるのか。株価に似た何かか。

銃を持った警備員を大量に置けば良いってもんじゃないし、口先ひとつで収束することだってある。

豹柄も軍事は全く知らない。

それで何となくヤバそうな奴を、呼んできて顧問にしたり。

例えば狂犬マティス

まず狂犬ってネーミングがいいだろ。

狂った奴にしか、メメリカは立て直せない。

どうせボンクラ連中は、そんなノリで俺に投票したに決まってる。

豹柄は、選挙戦の途中で面倒臭くなった。こんなの、俺の生誕70年記念で、出ただけなのに。

相手は、貫禄のある婆さんとか、キヨウワトウの重鎮とか、本命の安定感があった。大穴の豹柄が、こんなことになるとは思わなかった。

豹柄はビジネス・エリートで、人生をノリで乗り切っても十分お釣りがくるくらい、有能だった。だから言動にスキが出た。

失言したくらいでは、財布にも人生にも大したダメージがなかった。メメリカの片隅というか、中央道で、私人として生きた、これまでは。

 

 

俺がデブの酒飲みなのは、俺のせいか、社会のせいか。

ほとんどの貧困層は、そんなことを考えるのが面倒臭かった。

俺はバカじゃない。バカじゃないつもりだ。俺にもっと学があれば。もっと実家に金があれば。

摩天楼にはキリがないし、それは成層圏どころか、宇宙や月にまでつながっているのが、世界のフロントランナー、メメリカの世界だ。

その抜けるような青空に、グラス・シーリングがベッタリと貼られていた。

俺はそういうことが分からないほどバカじゃない。だからそういうことを、ハワードは、少しだけ考えたことがあった。

もし社会のせいだとしたら、カラード移民が増えたのが原因だ。

俺のせいだとしたら、神のせいだ。神は全ての人を祝福する。だから俺も祝福されている。幸福は約束されている。約束しない奴が間違っている。邪魔者は消せ。

ムスリムを追い出したら、お前がイラクで死ぬっていう、感じの悪いことを言うニガーがいた」

「どうせ、お前は米軍入らないだろ。腹が出過ぎて入隊できないよ」

「ダイエット・キャンプで、絞られるんじゃないのか」

「そんな金のかかることはしねえよ。俺たちは絞ったってタカが知れてる。海外からグリーンカードが欲しい有望株を釣った方が、安上がりだよ」

「それだけ分かってて、俺たちはカラード移民を追い出せとか言ってるの」

「そうだろ。少なくとも労働者としては、俺たちと競合して欲しくない。あんな馬鹿みたいに働く奴がいると、俺たちは食っていけない」

「ふんなら、理想を言えば、軍隊で絞った後、追い返せってことか」

「お前は嫌な奴だ。変に頭が回る奴は、レッド・ネックには要らない。お前はココでは暮らし辛いから、カルフォルニアにでも行ったらどうだよ。

そんな口をきいてると、そのうち夜道でボコボコにされるぜ」

カルフォルニアって。あそこはシャツ1枚が、ダサいとかイケてるとか下らない事でモメる土地だろ。

それで寄ってくる女の数が変わったり。

お前は、いつの人間だよ。サーファー・ボーイズかよ。

お前もイケてるTシャツで波乗りになって、サーフィンでもしてくれば、腹が引っ込んでいいよ。人生が好転するかもしれない。

心優しい女に飼って貰えるかもしれない。お前が痩せたら二枚目の、隠れイケメンなら。俺が見たところじゃ、望み薄だけど。

分からんよ。脂肪はカモフラージュだ。いろんなことのカモフラージュだ。豊かさとか貧しさとか、戦闘意欲とか。

ただ、シリコンバレーは、オタクが占拠したんだよ。同じイモとはいえ、俺たちと違う人種だ。

オタクって何だっけ。俺たちが小学校で自作のラジコン潰したりして、イジメてた奴かよ。

俺はイジメてないよ。かばってやって、パシリにしてたよ。

お前はヒーローかよ。その割には片鱗がないな。10歳までは神童ってやつだよ。

俺にパシリのオタクがいたら、ドローンでハリウッドスターをパパラッチさせて、メディアに売って大儲けだ。

俺たちハリウッドなんかに、興味あるか?

無いからこんなに腹が出てて、ダサいTシャツを平然と着てるんだよ。

どこかにハリーポッターでもいないか。曰く、お前には高貴な血と才能がある。スリザリンの校舎には入りたくない。アーア。

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