ちきうアネクドート

仕様でどうしても消せないが、リンク先の婚活業者はココとは無関係です。

華人警官8


アメリカみたいに、この入国利権自体を、チャイニーズ・マフィアから取り上げるのは可能なのか。

「アメリカみたいにって、何を根拠に言ってるの。アメリカは不法入国者を管理できないから、トランプが壁を作るんだよ」

「だが、セキュリティ・システムの先進国だよ。不法移民全員にカードを持たせて管理する案も議会を通っている」

リオ・グランデの壁に象徴される、水も漏らさぬセキュリティ・システムで、一代利権に仕立て上げる。

ただ、世界第二位の経済大国へ、日本に来ますか、なんて誘い文句自体が、ショッパイ可能性はあるけど。

 


リュウは試験的に採用された、数人の中国人留学生上がりのエリートの1人だった。ドリンクを買いに廊下へ出ると、珍客を見つけた。

「何か元気ないですね。十六茶とか飲みますか。コーヒーの方が好きですか」

リュウが話しかけた相手は、知らない人だ。服装からすると、正規の警官かな?どうしてここにいるんだろう。

彼は1人で座っていて、誰が見ても分かるくらい、何かやつれていた。

リュウは、こういうことがしてみたかった。

日本はお仲間天国らしい。中国みたいに、通りがかりの人が高確率で敵のケースは少ないという。

1人の困った他人を助けたら、カモ認定されて、次の日に1000人の無法者が押し寄せてくるような地域ではない。

日本の警察学校に入ったということは、自分もその身内になったということ。

「お前、外人なの。そういえば誰か、外人入れるとか言ってたな。

俺も外人になって、日本人同士のゴタゴタなんて、知らないフリがしたいな」

「ゴタゴタですか」

「俺は幹部連中のやらかした、横領か何かの罪を被せられるらしい。

っていうか何、しゃべってんのかな、俺。他に言える人がいなくて。ハハハハハ」

警察学校の廊下に、哄笑が響いた。少し危ない人だ。ただ、こういうことは中国にもよくあった。

「誰にも言えないんですか。内部告発者保護とか、そういうのないですか」

「あるけど、怪しいもんだよ。大組織の告発なんて、マズ出てこない」

「中国よりマシのような気がしますが。ソレは組織的に難しいんですね」

中国だっていろいろ、組織的に難しい。

通りがかりの彼の浮かない顔が映ってしまい、教室に戻ったリュウは同僚に聞かれた。

リュウさん、何かヘコムことでもあった?訓練辛い?食えないメシが出たとか?」

それを告白したのが、誰とは分からないようにして、リュウは、廊下に佇んでいた黄昏警官から聞いた話を、迂闊にもペラペラ話してしまった。

1人で抱えるのは重かったからだ。

 

 

 

リュウさん、拳銃集めてきてくれない」

リュウはまた、廊下で知らない先輩に捕まった。この前の黄昏警官じゃなかった。むしろ彼とは逆に、表情がギラギラしていた。

リュウは首を傾げた。どうして現役警官は良く警察学校に来るのだろうか。警官を志した、初心を思い出す為か。

「集めてどうするんですか」

「ノルマです」

コレ、あの黄昏警官の言った、拳銃集めのノルマがバレた話と同じじゃないですか。

だが、あの黄昏警官の話は、この人にバラしていいのか。下々には、上の人が何がどうなっているのかサッパリ分からない。

だけどもう同僚には話してしまったから、何かのツテで伝わってるんじゃないのか。

っていうかコレ、もしかして嫌がらせか。

俺が迂闊にもH県警の不祥事を、研修生たちにしゃべってしまったから。

「どこで集めるんでしょう」

「中華街の裏路地とか」

「そういうところ、知らないんですけど。僕は、正規ルートで留学して、そのまま警察学校に紹介されたんです」

リュウさんは、中国語しゃべれるじゃん」

「僕は警察学校段階でいきなりクビになりたくないです。何でそんなことを頼むんですか、変ですよ」

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